とけて、おちて【テニプリ】 (ページ32)

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おまけと言うか供養ページ32

(はじめに)
バレンタイン頃に考えていた話です。Aさんが『毎年出る某バレンタイン曲を聴いて好きなのを選ばないと出られない部屋』に閉じ込められる話、フィーリングで読んでください。
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「まぁきっと俺を選んでくれるだろうな」

「いや、俺かもしれないだろぃ？」

「ピヨッ、目が覚めたみたいじゃのう」

「むぅ、やはり混乱しているのではないか」

大きなモニターの前でAの様子を観察しているのは立海テニス部部長の幸村、副部長の真田、そして部員でレギュラー入りもしている仁王と丸井。彼らが見るモニター越しには、目が覚めれば知らない場所で焦りからか眉を下げながら辺りを見渡すAの姿。

床に座り込んだままのAはぼんやりと壁を見つめ、動く気配がない。考え事をしている彼女はあまりその場から動こうとしないため幸村は特に気にせず観察を続ける。

「……Aのやつ大丈夫か？」

「ちょいと手荒な真似したからのう……お、動いた」

手始めに、と部屋に置いてあるものを見て見ぬふりして扉へ手をかけた。しかし開くはずもなく、仕方なく部屋の真ん中に置いてあるテーブルを見に行くAはメモ用紙を手に取るなり眉を顰めた。

『バレンタイン…え、なに……21人分……？？』

妥当な反応である。積み上げられたCDを見て顔が引き攣ったAにモニター前の4人も気持ちは分かると深く頷いていた。他に何かないか、と首を動かすA。ふと、モニター越しに全員目が合う。

「お、こっち見たぜ」

『…誰か見てるの……？』

「見えてるよA」

「聞こえないぞ幸村」

緩く手を振る幸村だがもちろん彼女には見えない。何も分からないが、誰か見ているのならやるしかないと腹を括った彼女はCDを手に取る。一度手は跡部だった。

『うわぁ…イケメンさんだ』

「……今の発言は気にならねぇの幸村くん」

「え？だって彼女が好きなのは俺だし」

ジャケットの跡部に対する感想だろうし、と頬杖をつく幸村は本当に気にしていないようだった。すげえ自信——と丸井が考えていると曲が流れ始めた。聴いている間、Aは積まれたCDを順番に見ようと数枚取ったところで手を止める。

『さ、真田くんだ、えっ、真田くんだ』

「おい、なんだその反応は！！」

「聞こえてないぜよ」

続けてCDを取って見ていくとやはり知り合いのところで手が止まる。

『………幸村くんのもあるんだ』