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28 / 最終回 ページ29

「桜、あまり咲かなかったね」




背後から聞こえた声にAは肩を揺らす。振り返ると自身と同じように鞄と卒業証書を持った幸村が同じように三分咲きの桜を見上げていたが、すぐにAへと顔を向けた。


幸村の誕生日からしばらくした今日は卒業式。そしてA自身の気持ちを言葉で伝える約束の日でもあった。穏やかな表情をした幸村とは対照的に、緊張しているのか硬い表情のA。深く息を吸って、吐いて、ゆっくりと距離を縮める。



「あの…えっと……笑わないでない聞いてね?」

「うん、勿論だ。ゆっくりで良いよ」

「……わたし、私も幸村くんのことが好き…です。ちゃんと根っからの私を見てくれる、ところ、とか……」



口に出すとやはり羞恥心が勝ってしまうのだろう、小さくなる声は次第に聞こえなくなりAは黙り込んでしまった。そんな彼女を落ち着かせるように、幸村は手を掬い取り優しく握る。指先はひんやりと冷たくなっていた。



「…っ、手、握ってくれると安心するし……」

「うん」

「うまく言葉出なくても、ちゃんと待ってくれて…テニスに真剣なところはかっこよくて…それから、それから……」

「ふ、ふふ…」

「! わ、笑わないって約束した!」



嬉しさと、気恥ずかしさと、それから愛しさと。一気に押し寄せる気持ちに幸村は思わず笑ってしまい、当たり前だが約束を破ったため怒られてしまった。謝罪をしながら溢れる気持ちをぶつけるように思い切り抱きしめると、Aは大人しく背中へ手を回す。


自身よりずっと細く柔らかい体、恥ずかしがり屋でもしっかりと伝えてくれた彼女に心からの感謝を。



「でも、やっと聞けたな……ありがとう、良く頑張ったね」

「……うん」

「俺はAがずっと好きでした、付き合ってください」

「っ、よろしく、お願いします……」



Aは恥ずかしさを隠すように幸村の胸元へ強く顔を埋める。幸村はそんな彼女の髪の毛を優しく撫でて微笑んでいた。







———「高校は同じクラスになれると良いな」
———「ん、どうかな。でも立海は人数多いし…そう考えると柳くんと2年連続同じクラスになれたの凄いなぁ」
———「う〜〜ん…まぁ蓮二なら…良いか………」

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かな(プロフ) - とても面白かったです!!ありがとうございます‼︎ (2023年3月2日 11時) (レス) id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きりふき | 作成日時:2022年1月28日 12時

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