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日曜日の朝8時。出かける準備をしてから軽く朝食を食べ洗濯機を回し部屋の掃除をはじめる。出かける準備以外はいつも通りの休日だがAの内心は平静を保てていなかった。


「週末のお出かけ」の話をすると「週末のデート」と意地でも言い換える幸村を思い出しながら疲れてまだ寝ている父のためにバランスの良い朝食を作り終わるころには洗濯機が止まっている。今日は天気がいい、外に干してしまおうと庭に出ると丁度父が起きて来るのが視界に入った。



「ふぁ…」

「おはよお父さん、朝ごはん出来てるから食べて」

「あぁ……」

「まだ半分寝てない?まぁいいや、私これ干したら出掛けるから」

「友達か?あまり遅くなるなよ。今晩は久々にピザ頼むから」



散歩がてら映画も借りてくる、と朝食を乗せたトレイを手にソファへ腰掛けた父を横目にタオルのシワを伸ばしていく。


こうして全て干し終えた頃には約束の時間に遅れそうな時間になっていた。急いでカゴを片付けて家を出るが走って電車に間に合うだろうか、そんなことを考えていたが杞憂に終わってくれた。ホームに着くと丁度乗る電車が来てくれたからだ。


音楽を聴きながら揺られているとすぐに目的の駅へ到着する。今になって緊張してきた体を誤魔化すように鞄を持つ手に力を入れた。携帯には数分前に幸村から先に着いたから待っていると言うメッセージが届いていたため辺りを見渡すとすぐに見つけることが出来た。


しかしAは声をかける前に立ち止まる、あれは世に言う逆ナンと言うやつだろうか、と。幸村は綺麗な女性2人に迫られ困り顔で笑顔を浮かべていた。ふと1人が幸村の腕を馴れ馴れしく掴んだのを見てAは再び歩みを進める。



「あ……」

「すみません、その人は私と約束しているので」

「なに、もしかして彼女?」

「付き合ってはいませんが」

「じゃあ良いじゃん!ちょっと向こう行っててよ」



肩をトン、と押されてふらつくA。幸村は声をかけようとするが、A本人の行動でそれは叶わなかった。女性2人を自身がやられたより少し強めに幸村から引き離したのである。



「“まだ”付き合ってないだけです、あまりしつこいとウザがられるだけですよ。行こう幸村くん」



どこか怒気を含み淡々とした声音に女性2人はたじろぐだけで何も言えないままだった。そんな彼女たちに見向きもしないAは幸村の手を掴みその場を後にする。


Aが気付き慌てふためくまではそうかからなかった。

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かな(プロフ) - とても面白かったです!!ありがとうございます‼︎ (2023年3月2日 11時) (レス) id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きりふき | 作成日時:2022年1月28日 12時

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