No.042 ページ43
.
「懐かしいねぇ……ま、今は今で充分だかな」
古き思い出に意識を馳せていたとおぼしき坂田さんが、何とも感慨深そうにうんうんと唸り私の頭をわしゃわしゃと撫でてきた。
そんな姿に、思わず胸がほっこりする。
一人満更でも無さそうに口許を緩めていると、同じくうんうんと深々と頷いていた神威がふと口を開いた。彼も昔はかなりデリカシーに欠ける人だったが、ここのところはかなり紳士になっていると思う。
「Aってさ、結構丸くなったよね」
──前言撤回、むしろ退化しているようだ。
「何ですか、文句ですか?女性に失礼なこと言うとバチ当たりますよ!！」
デリカシーの欠片もない神威の一言に、机の上に置かれていた果物籠から抜き身のナイフを瞬時に投擲のポーズで構える。思わず食って掛かった私に、違う違うと神威は必死に首を横に振り、
「せ、性格の話だよ、性格の。……相変わらず可愛くって、しっかり者で。でもどこか抜けてて、寝起きは結構甘えん坊で、短気で世間知らずで時々我が儘で」
「それは神威のことでしょう?」と鋭く反芻すれば、私の言葉などどこ吹く風で言葉を続けた。
「本当は人見知りで、結構毒舌で。お化けとか信じてて、見た目によらず凶暴で。……来た頃よりは背も伸びたし、胸のサイズも──」
「見損ないましたよ神威!!貴方、何でそういう情報を知っているのですか！？」
なんて一喝すれば、てへへと可愛らしい笑顔で誤魔化そうとする。ガクンガクンと強烈な力で神威の肩を揺さぶっていれば、ずっと口を閉ざしていたポーカーフェイスが漸く言葉を発した。
「そういやお前、彼氏とかいるンですかィ」
「それは嫌味としか受け取れませんね。どういうつもりですか?タコ殴りにされるＭプレイをご所望ですか?」
見た目はいいのに、中身がこれだから彼女がでないんだよ、貴方は……と心の中で続ければ、エスパーの如く私の心中を察した沖田さんがムッと顔を顰め、
「俺ァ泣いて嫌がる女を抱くのが趣味なんでね。そんな悪趣味に付き合う暇はありやせんよ」
「貴方の方が悪趣味じゃない」
「はいはい、そんなに抱いてほしいなら口で言いなせェツンデレメイド」
「頭沸いてるんですね?沖田さんって女性にチヤホヤされながらも婚期逃がすタイプですよ絶対」
「まともに男とデートしたことない癖に」
瞬時に涙目となった私は、大人げなく反論を開始した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 408人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あるの(プロフ) - ささかさん» コメントありがとうございます、ささかさん！いつまでも待っていて下さるのですか？！ありがとうございます＾＾はい、できるだけ早く続編を作り直しますので、それまでは暫しお待ちください！ (2018年1月6日 16時) (
レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)
ささか - 作者さん、色々とお疲れ様！でも私はいつまでも待ってますから！ゆっくりでいいので続編作るの頑張って下さい！ (2018年1月6日 15時) (レス) id: 94a7e06d27 (このIDを非表示/違反報告)
霰＠あるの(プロフ) - たらぴさん» コメントありがとうございます！はい、念願の初殿堂入りを果たすことができました…！応援までありがとうございます＾＾たらぴさんのお言葉には励まされるばかりです！ (2017年12月24日 17時) (レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)
たらぴ - 殿堂入りおめでとうございます！これからも頑張って下さい(^^)/応援してます！ (2017年12月24日 17時) (レス) id: dcfd3554f9 (このIDを非表示/違反報告)
霰＠あるの(プロフ) - 高杉るなさん» 了解致しました＾＾ご提案ありがとうございます！高杉さんと遊園地…とても素敵なお話ですね！できるだけ早めに執筆致しますので、楽しみにお待ちいただけると嬉しいです！ (2017年12月6日 7時) (レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
