第5話 ページ6
三玖side
フータローとAが帰った後、一花が控えめに声を漏らし始めた。指の隙間から見える顔はほんのり赤く染っていて、不本意だけど何が言いたいのか分かってしまう。
「…三玖さぁ、あれいつも耐えてるの?」
「私は一花みたいな手の出し方しないし」
「あれもだけどさぁ……頭、撫でてる時の顔も」
「ああ……」
一花がAの頬に指を滑らせた時。彼女は思い切り目を瞑って肩をすくませた。目尻にはうっすらと涙が滲んでいて、嗜虐心とでも言うのだろうか、彼女を弄りたい心に囚われた。
「あんなに嬉しそうに撫でられる子いないって」
「可愛いよね、あれ」
「……Aちゃん、欲しくなっちゃうよね」
「…あげない」
「なんで?」
「私が先。だから…一花にはあげない」
一花に背を向けて部屋に戻ろうと階段を登る。楽しそうに笑った1番上の姉は、私に挑発仕返してきた。
「じゃあ奪う。それなら文句ないでしょ?」
「……勝手にすれば」
気に入ったら譲らない。
それが私たち。
Aは私が先だから、誰にも譲りたくない。
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さな - まとめて最後まで読んじゃいました!主様の書く五等分の花嫁の小説大好きです!もしよければ四葉エンドでのお話もまた読みたいです! (2021年12月14日 20時) (レス) id: f790efa9f6 (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - とっても面白かったです。もっとみたいです! (2021年12月7日 8時) (レス) @page27 id: 29b58b93c0 (このIDを非表示/違反報告)
ちくぜんに(プロフ) - 莉奈さん» お褒めのコメントありがとうございます!四葉ちゃんですね、少々お待ちください! (2021年1月30日 11時) (レス) id: 8315f66856 (このIDを非表示/違反報告)
莉奈 - 面白かったです!ごと嫁の百合ってあんま見ないので新鮮ですね!それから四葉ちゃんの番外編お願いします! (2021年1月30日 11時) (レス) id: 5e6606bd3c (このIDを非表示/違反報告)
ちくぜんに(プロフ) - 竹ちくわさん» ありがとうございます、お楽しみに! (2020年8月10日 7時) (レス) id: 8315f66856 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちくぜんに | 作成日時:2020年2月19日 10時