兄の友人に愛されています、5人分【五等分の花嫁】

第18話 ページ20

四葉side





悲しそうに笑う三玖の顔を見るのは、これで何度目だろう。すぐ上の姉は全てを見通すような立ち位置にいるのに、だからこそそんな表情をするのだ。


私はバカだから、三玖の考えてることも、みんながやろうとすることも何も分からない。


ただ1つ分かるのは、みんながAちゃんのことが大好きで、自分のものにしたくて、


＿＿それでも、諦める理由を探してることだけだ。


私には分からない。諦める必要があることも、Aちゃんのために何が出来るのかさえも。


でも私にできるのは、誰かの代わりに行動することだけ。


だから、三玖の代わりに、一花の代わりに、この中からAちゃんを連れ出してみせるんだ。





「Aちゃん、大丈夫ですか？」


「四葉、ちゃん……」




静かに首を振る彼女。顔色が悪い彼女を連れ出すのは私の役目じゃない。




「……一花、Aちゃんのために、一花ができることは喧嘩をふっかけること？」


「違うよ……なんだって出来る……私はっ、君のためなら……」


「じゃあ、分かるよね」







＿＿叶うのなら。


彼女の手を引いて走り出すのは、私が良かった。





「……五月、二乃」


「なによ、四葉」


「一花のこと、からかってやろうよ」


「いいですね、それ」


「「「一花！！」」」




3人で叫ぶ。余裕のない表情で振り返った彼女の耳に、届くように。




「泣き止ませなきゃ、私が貰うわよ！！」


「お礼は夕飯のファミレスでいいよー！もちろん、Aちゃんと6人で！！」


「次こそ、譲りませんからね！！」




どこまでも、姉妹なんだなぁ。
楽しそうに笑う一花の笑顔を見ているだけで、胸がいっぱいになるんだもん。

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