ハグ5回目 ページ5
「ご飯作るので手伝っていただけませんか〜?」
リビングの隣のダイニングキッチンから真冬さんの声が聞こえたため、『はい!!』と返事をすると、真冬さんは困ったように笑った。
「すみません、僕、あんまり料理得意じゃなくて、世間じゃ一般的に簡単って言われてる料理でも、普通に失敗してまずくしちゃうんです。」
初めて会った時から高身長イケメンでおまけに曲も作れる。わたしとは遥か離れた程遠い身分だと、感じていたけど、1人が怖いとか、料理が苦手とか、そう聞いてみるとなんだかちょっと違った親近感が湧いた。
未だにしゅんとしている彼がなんだか異様に可愛らしくて、守ってあげたくなると言うか弟みたいっていうか。
年上のはずなのに全く歳の差なんて感じなかった。
『家事は私がやるので、心配しなくても大丈夫ですよ。』
「そう…ですか。なんだかすみません。」
なんて真冬さん、さっきから謝られてばかりで、あまりいい気分ではなかった。
でも、謝らないでなんて言えなかった。
だって真冬さんは何かに怯えているようで、何かのトラウマをひたすら否定しているようにも見えた。
その事に私は気づかないフリをして、冷蔵庫のドアを開けた。
綺麗にまとめて整頓されていて、何がどこにあるかすぐにわかって、前の家とは比べ物にならないほどだった。
『豚肉とジャガイモとにんじんがあるので、だしと玉ねぎをを買って、肉じゃがにしちゃって大丈夫ですか?』
とソファに腰掛ける真冬さんに尋ねると、彼は「肉じゃがっ?!」と目をキラキラさせてこちらを見つめてきた。
『は、はい…。』
「あ!びっくりしましたよね…。すみません。肉じゃが、昔から大好物なんです。」
真冬さんはゆっくりと掛け時計を見つめながらこう言った。
「昔、母の得意料理で…よく作ってくれてたんですよね。」
と少し悲しげに笑った。
400人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
fuchida__03_(プロフ) - とても面白かったです!!更新が楽しみになりました!更新頑張ってください!! (2020年11月10日 1時) (レス) id: 0ed96f7e70 (このIDを非表示/違反報告)
かりん(プロフ) - 漆黒の独林檎さん» コメントありがとうございます〜!!恋する女の子は可愛いので、可愛くを目標にお話を作ってます、、!そのように言っていただき光栄です! (2020年8月30日 16時) (レス) id: 3427d0eacd (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の独林檎 - 夢主ちゃんとのやり取りが可愛くてニヤニヤしてしまう…(キモい) (2020年8月27日 21時) (レス) id: 166755593d (このIDを非表示/違反報告)
かりん(プロフ) - なみゅさん» ありがとうございますうう!!そうやって言っていただきなによりでございます!!まったり更新ですが、これからもよろしくお願いします〜!! (2020年6月4日 22時) (レス) id: 3427d0eacd (このIDを非表示/違反報告)
なみゅ - コメント失礼します!続きが気になりすぎてニヤニヤしてますw(自分何言ってんだろう…) とりあえずこれからも頑張ってください! (2020年6月3日 11時) (レス) id: 2c27511880 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かりん | 作者ホームページ:https://Mobile.twitter.com/krn_s4
作成日時:2020年5月18日 12時