ハグ1回目 ページ1
ピーピーピー
サイレンのように甲高い音が狭い病室の中響き渡った。
『お父さん…!!!』
それは、悲しいの一言じゃまとめられないほど、胸が痛くて、しんどくって。
変えられない事実だった。
脳がパンクして、言葉が何も入ってこない。
ただ、ただ自分の未熟さに泣きじゃくる事しか出来なかった。
私はまだ高校生だし。生活や学校。
全てはお父さんが毎日徹夜で働いていてギリギリ。
あのときもっと早く休ませてあげられたら。
あのとき、無理しないでねって言えたら。
少しは変わっていたのかな。
財布の中の小銭を数えても、貯金は4,800円。こんなんじゃアパートの家賃もろくに払えないし、食事だって1ヶ月も持たない。
『どうしよう…。』
病院のドアの前で立ち尽くす。
生憎雨だ。
公園で寝ることも厳しくなる。
うーんと頭を捻らせるけど、考えれば考えるほどまた涙が出た。
「どうかしました?」
と女の子の声が聞こえて、振り向くと少し背の低めな女性が立っていた。
怯えて警戒心剥き出しの視線をその女性に送ると、彼女は少し俯きぎみでこう言った。
「貴女のさ、悩みをもしかしたら解決できるかもしれないんよ。保証は出来ないけど。初対面っていう理由で嫌なら友達になって聞く!!儂は響棗!!貴女は?!」
ぐいぐいと少しずつ距離を詰めて行って、最終的には大体15センチくらいになった。
そして、視線があった時にドキリとした。
真剣で吸い込まれそうだった。
初対面なのに真剣に聞こうとしてくれている…。
断っても何しても無駄だ。この時わかった。
この人が言ってることは1つ1つ胸に響いた。
『しょうもないって思わないでくださいね。』
そう震える声で言うと、彼女はにぱあっと笑って頷いた。
近くのカフェに移動してからゆっくりと説明しだすと、うんうんと相槌を打ちながら、決して急かさずに、最後までしっかり聞いてくれた。
棗さんはうーんと眉間にシワを寄せて考え込む。すると閃いたように、あっと叫んだ。
「それだったら知り合いに頼めそうな奴居るで!!」
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fuchida__03_(プロフ) - とても面白かったです!!更新が楽しみになりました!更新頑張ってください!! (2020年11月10日 1時) (レス) id: 0ed96f7e70 (このIDを非表示/違反報告)
かりん(プロフ) - 漆黒の独林檎さん» コメントありがとうございます〜!!恋する女の子は可愛いので、可愛くを目標にお話を作ってます、、!そのように言っていただき光栄です! (2020年8月30日 16時) (レス) id: 3427d0eacd (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の独林檎 - 夢主ちゃんとのやり取りが可愛くてニヤニヤしてしまう…(キモい) (2020年8月27日 21時) (レス) id: 166755593d (このIDを非表示/違反報告)
かりん(プロフ) - なみゅさん» ありがとうございますうう!!そうやって言っていただきなによりでございます!!まったり更新ですが、これからもよろしくお願いします〜!! (2020年6月4日 22時) (レス) id: 3427d0eacd (このIDを非表示/違反報告)
なみゅ - コメント失礼します!続きが気になりすぎてニヤニヤしてますw(自分何言ってんだろう…) とりあえずこれからも頑張ってください! (2020年6月3日 11時) (レス) id: 2c27511880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かりん | 作者ホームページ:https://Mobile.twitter.com/krn_s4
作成日時:2020年5月18日 12時