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36話 ページ36

「ここまで連れてきておいてなんだけど、とにかくあやかちゃんは帰った方がいい。」

落ち込んでいる暇もなく利吉さんは立ち上がった。



「そう、ですね。では、失礼します。…お姉ちゃん、元気でね。」

再会した時より安心した笑顔でそう言って後ろを向く。


「うん。あやかもね」

私の返事を聞くや否や元来た道を戻っていった。



…私がお城に帰ることはもうないのかもな。

妹の背中が見えなくなっても見送り続ける私に

利吉さんが声をかける。


「…君は本当に昔から変わってないね」

どういう意味だろう…?


利吉さんは私の疑問に気づかないフリをして話を続ける。

「正直、妹を連れてくるのは想定内というか…むしろ作戦を話せて良かったと思ってる

だから留三郎くん、君は間違った行動を取ったわけじゃない。」


利吉さんは留三郎くんに向き直って、声を小さくする。


「だけど、情に流されるままでは忍者として生きていけない」

その言い放たれた言葉に息を呑んだ。



…さっき泣いてしまったのは

安心したからだけではない。


留三郎くんは一度私と離れた短い時間で、

門番の人や周りの見張りをどこかへ呼び出したり

利吉さんと連絡をとったり。


その利吉さんは計画を立てて大きな作戦を実行させた。


あやかだって一緒に走りながらも周りに気を配って

安全を確保していた。


自分だけ何もできなくて無力さを感じてたけど


それは3人に忍者としての覚悟があるから。




暗闇の中ぼんやりとしか見えない利吉さんの顔をこっそりと眺めた。

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みかんおばけ - 素敵です!サイコーです! (2019年3月29日 21時) (レス) id: 37228e8831 (このIDを非表示/違反報告)
あーり(プロフ) - 月長石さん» 月長石さん、ありがとうございます!準備が整い次第、続編を作ろうかなと思っているので他作品と並行になり更新ペースは遅くなるかもしれませんが、気長に見ていただければ嬉しいです!ご期待に添えるよう頑張ります! (2018年12月21日 21時) (レス) id: 55a75ee2ee (このIDを非表示/違反報告)
月長石(プロフ) - 大変だとは思いますが、ご検討して頂けるとありがたいです!改めてお疲れ様でした!ありがとうございました! (2018年12月21日 7時) (レス) id: 6c9c69e497 (このIDを非表示/違反報告)
月長石(プロフ) - 初めまして、完結おめでとうございます!いつもワクワクしながら見させて頂きました!私としては作者様も大変だとは思いますが、続編をつくって頂きたいなと思います!利吉さんと夢主さんが付き合った後の日常…みたいな感じの小説が見てみたいです! (2018年12月21日 7時) (レス) id: 6c9c69e497 (このIDを非表示/違反報告)
あーり(プロフ) - リディア94さん» リディア49さん、ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです(^^)これからちょっと留三郎くんに頑張ってもらってハッピーエンドを目指すので最後までよろしくおねがいします! (2018年12月14日 23時) (レス) id: 55a75ee2ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーり x他1人 | 作成日時:2018年8月7日 23時

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