肆 ページ10
:
改めて思い知らされる、自分の弱さ。
それを彼女に悟られないよう、けらけらと白々しいような、軽薄な笑みを浮かべて、誤魔化してみる。
そんな俺の表情を見てなのか、俺の言葉を聞いてなのか、あからさまに眉を顰め顔をしかめる彼女。
漸く表情が変わった、なんて思うが、これは癪に触っただけ。嗚呼、また怒らせて仕舞った。などと考えては、何か重いモノが、自身の心に伸し掛る感覚に陥る。
こんなんでよく、"義父"だとか名乗れたよな。
そんなマイナスな考えが、俺の脳裏上を渦巻いて仕舞う事さえも、俺は気に食わなかった。
だが、俺は仮にも彼女の父親という立場。
昔からの長い付き合いの筈なのに、父親として振る舞う事がこうも上手く行かず、何処か覚束無い。
俺はただ悔しかった。
余裕が無いにも関わらず、余裕気にしている自分を、如何にも好きになれない。
「……あぁ、、もう…！！こんな人知らないわよもう…っ！！っこの社畜パトロン…！！」
『っはは、酷い物言いだなあ。其れを云うなら支援者って言ってよね、支援者。俺の立場から見て云うとお前はスケコマシでしょ？言っとくけど、俺はただただ社畜って訳じゃないんだよ。お前らの為に家業、生業を熟してるだけあって、ただただ自分の為に働いて給金待ってるんじゃない。お前は本当に勘違いが甚だしい…。自分の為だけに働いてるとしたらこんな仕事してないっての。』
まあ、こんなやり取りが出来るのも今の内なのかも知れない、なんて考えたら、自分の弱さに打ち
彼女にどう思われていたとしても、俺は彼女の"父親"だ。
誰が何と言おうと、俺は彼女を護り育てる義務がある。
彼女は、否…"彼女ら"の未来と幸せは、
それこそが俺の本心だから。
少し視線を彼女に移してみると、顔を俯けて仕舞っている為、表情が伺えない。
嗚呼…また、"嫌われて仕舞った"だろうか。
無意識的にもそう考えて仕舞う俺は、必死に言葉を選びつつ、ゆっくりと言葉を発し始めていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆづ。 | 作成日時：2024年1月22日 14時
