陸 ページ12
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嗚呼、"嫌な予感"とはこの事だったのか。
相変わらず強ばったまま動かない、この表情をどうにかしたいところだが、今はそれどころの話では無い。
本日、ヒーロー科1年A組のヒーロー基礎学の授業でレスキュー訓練が行われる筈だった場所。
雄英高校が授業設備として構える、
その連絡が入ったのは、とある研修から帰還したばかりの事。
すぐさま俺はUSJへと繋がる、外廊下を音も無く駆け抜け、構えられたそのゲートを跳び上がるようにして突き抜ける。
そんな俺が目の当たりにしたのは、脳味噌が剥き出しになって居る、俺よりもふた周り以上大きな図体を持った、"バケモノ"の姿で。
その奥先を見据えると、オールマイトともう一体のバケモノが対峙し、正面からの殴り合いをして居た。
思わず口角が上がる。
さて、どうしてやろうか。
そう考えれば考える程、俺は愉悦を覚える。
呼吸を深め、集中を深めた上で、俺は胸元に右手を添えた。
そこから左手で何かを引き抜くような動作に繋げる。
今、俺の左手にあるのは、"
嗚呼、矢張りこれは極上の逸品だ。
そう惚れ惚れして仕舞う程に、俺はこの剣の魅力に酩酊されていたのだろう。
そんな剣を手にし、目の前のバケモノに闘気を向ける。
蒼電輝く稲光、絶対零度の絶酷たる冷気。
想いはただ、"無情"。
『………"
そんな口上と共に、剣を胸元から一気に引き抜けば、バケモノに向かい、初手から大きな一撃を与えた。
そうすればどうだろうか。
バケモノはこの剣が放った一撃の勢いで、数十米程退けるように吹き飛ばされたではないか。
大きな衝撃音に、生徒達や応援に来たヒーロー達が気付き、此方を凝視している。
だが今は、そんな事を気に留めて居る暇は無い。
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作者名：ゆづ。 | 作成日時：2024年1月22日 14時
