伍ノ段【紐解かれて行く謎】 ページ6
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『………成程、天女ですか。私が天女だと云う確証は無いですし、私が何故このような場所に居るのかも、理解しかねます。それに私は、この近辺で気を失って居た。然も"無傷"でです。"あの戦い"で命を落とした筈。それも皆に見送られながら死を迎えた筈なのにも関わらず…私は五体満足でこの場に立ち、息をしている。本当に謎深い事だ…、輪廻と云う仕組みは本当に存在したのですね…。』
顎元に指を添え、ふむ…と、小さく頷くようにしては、早いながらに次々と謎を紐解いて行く彼。
これぞ自己解決、とも言えようか。
そんな彼の言葉を聞いた忍衆の彼らは、驚愕や唖然を憶えて仕舞って居るようで。
まるで、"一度死んだ身である"とも言いたげに言葉を紡ぐものだから、そんな事が有り得るのか、なんて事を思考して仕舞うのである。
「………もういい、話は"学園"に着いてから聞く。兎も角お前は俺達について来い。」
そう言って悪態を吐く老け顔の少年、否、青年だろうか。
そんな青年の隣に佇んで居る、漆黒の艶やかな長髪、言わばサラストの髪を持つ、
「ぃ゙ッでぇ!!!何をするんだ仙蔵!!!」
そう、かなりの力で殴ったのである。
ぎゃんぎゃんと喚くようにして、老け顔の青年が騒ぎ立てる様子を、涼しい顔で見つめるサラストの青年。
軽い口論になって居ると思えば、すぐさま老け顔の青年は黙り込んで仕舞った。
苦笑いを浮かべつつその様子を眺める彼は思う、『泣く子も黙る郎子』ならぬ『耄碌も黙る郎子』と。
(彼の得体の謎とは。)
陸ノ段【総てを見透かすような瞳】→←肆ノ段【知り得る筈の無いコト】
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作者名:ゆづ。 | 作成日時:2024年1月18日 23時