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壱ノ段【氷雪の舞う夢を矚て】 ページ2

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幸せな夢を、()た気がした。

とても、とても…言葉で言い表す事すら難しいような、

"幸せな夢"を。




氷雪の舞い躍る綺麗な情景を、毎日のように目にして居た、"あの頃の記憶(架空の記憶)"。

父親も母親も、愛想が()く、心の優しい御人で…

家の者は皆は"俺"が生まれた事を、心から喜んでくれて…

本来、死ぬ"筈"の妹でさえも、死なずに"済んだ"。

皆で、幸せに生きる事が出来た。

そんな夢。




ただただ、想いに耽ける事しか術が無い。

自身の中で創り上げられた、架空の想い出から感じ取る、小さな幸福を噛み締めて居た。

…そう、ある筈の無い、"存在しない幸福(False parallel worlds coated in desire.)"を。

こう生きたかった、と。

今更悔やむように、無意識的に意識中で思い描かえる"パラレルワールド(創造された理想)"。




……嗚呼、"私"はまた____




自身の心中の弱みに、自ら漬け込まれて行くような、呑まれて行くような、そんな感覚を覚えれば覚える程、

弱い自分(本性)に対しての、憎悪や憤怒を意込めた激情が、穢らわしい人間性が露骨になるように、吐き出されそうになる。

……ただ今は、それを食い止める為に、モノを真面に通そうともしない喉で、濁った空気を呑むだけ。

(すべ)て隠し通す事が、偽り通す事が、他者の為であり、自身の為であるのだから。











("理想"を求める感情の顕れ。)

弐ノ段【夢覚めの靄は晴れぬまま】→←あてんしょん。



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作者名:ゆづ。 | 作成日時:2024年1月18日 23時

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