▼episode.10 ページ10
You side
あの後、レイジさんは私を部屋まで案内してくれた。
流石逆巻邸なだけあって豪華な仕様になっていた。
中に入ると、今までの緊張が解けて勢いよくベッドに倒れた込んだ。
｢はあー、これからどうしよう」
様々な事を考えてしまって、まだ何も起こっていないのに不安が募ってしまう。
いや、でも生で逆巻家の皆を見れただけでも幸運なんじゃ...。
って、そんなわけ無い!!彼らは吸血鬼なんだから!!
そんなことを考えてると、ドアの外から誰かの足音が聞こえてきて、ドンドン部屋に近づいて来るのが分かった。
[コンコンッ]
?｢あの...私、小森ユイです」
｢どうしたんですか?」
ユ｢えと、レイジさんからこの屋敷の案内を頼まれて。でも、私も分からないことだらけだけど」
｢そっか、私は暁月A。これからよろしくね?女の子同士」
ユイちゃんは顔をパァッと明るくさせ「うん!!」と言った。
｢立ち話もあれだから、部屋に入って話さない?」
それから私達は色々な話をした。会ったばかりだけど私にはそんな気が全然しなかった。
｢私、異世界転生してきたからこれまでのことを全部知ってる。そして、これからのことも。ユイちゃんはこの事を知っても何とも思わない?」
ユ｢ううん、全然。むしろ私嬉しいよ。今まで誰も逆巻家の皆が吸血鬼だって事知ってる人もいなかったから」
ユ｢だから、Aちゃんが来てくれて嬉しかった」
私がこれから起こる事を知っていたら、ユイちゃんは私が話すことを望むか、拒んで距離を置いてしまうんじゃないかと思っていた。
ユイちゃんもここに来て間もないだろうし、彼女なりの不安な事もあるだろうから。
でも、さっきの言葉を聞いて安心した。
彼女は優しいんだ。私が彼女の悩みの種について詳しいことを知っていても、追及せずに仲良くしてくれる心が優しい子。
｢ありがとう、ユイちゃん。もし、悩みごとあったらすぐ私に言って。相談に乗るから」
ユイちゃんのこれまでの事、これからの事を知っているからこそ私が守ってあげたい。
血だって、できることなら吸血されるのも私が全て受けたっていい。
ーーーたとえ、私がこの世界に来てしまった事によってシナリオが変わってしまうとしても。
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作者名：心芦心芦 | 作成日時：2017年6月3日 20時
