▼episode.21 ページ21
You side
皆が眠っている間、階段の軋む音だけがその場に響いていた。
私は眠ろうとベットに入ったものの、あれから眠れずこうして階段を下りている訳だ。
それにしても、少し肌寒いなと感じたので借り物のカーディガンを羽織りキッチンへ向かっている。
[ガチャッ、ギィー]
「あ...あれ、レイジさん」
レ「あぁ、貴女でしたか。どうしたのです?」
「えっと、眠れなくて...温かいものをいただきに。レイジさんは、どうして此処に?」
レ「新しい薬の研究の息抜きに」
息抜きにって事はまだ続けるつもりなのかな?
「その研究って何時までするんですか?」
レ「あと2〜3時間程」
「え...でも、それって少ししたら学校の時間ですよね?寝なくて大丈夫なんですか?」
「私は、貴女のような人間みたいに柔な体でわありませんから」と辛辣な言葉を発してくる彼。
そんな彼に私は、少し謝って温かい飲み物が何か作れないかな?と思いながらキッチンを見渡していく。
「ッ、クシュンッ、う...寒いな〜」
お風呂上がりで暑かったせいかノースリーブを着てしまったため寝ている間に体が冷めてしまっていた。
レ「...貴女、後で私の部屋に来なさい」
「え?」
レ「その様子では、体が冷めているのでしょう?私が部屋で特別に紅茶を淹れて差し上げます」
「でも、レイジさんは研究の息抜きに此処に来たん「貴女に拒否権はありませんよ」
――「貴女に拒否権はありませんよ」
レイジさんはそう言ってるけど、研究の邪魔にならないのかな?
でも、実際に前世でレイジさんの紅茶を飲みたかったからちょっと嬉しいかも。
そうなるとこれって、私だけが得するの?!
少し、レイジさんに申し訳ない気持ちもあるけど。ここは、お言葉に甘えさせてもらって...。
「わ、分かりました。あ、あとでお部屋に伺います」
そう言うと、レイジさんはスタスタと自室へ戻っていってしまった...。
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作者名:心芦心芦 | 作成日時:2017年6月3日 20時