▼episode.16 ページ16
You side
?｢...ゃん!...ちゃんっ...Aちゃん!」
私は、誰かが私の名前を呼ぶ声で目が覚めた。
目覚めた時に目の前に広がった景色は、学校に行く前までいた逆巻邸の部屋だった。
｢ユ...ユイっちゃん?」
目の前には、顔を青ざめたユイちゃんがいた。
学校の屋上でアヤトくんに血を吸われてから気を失ってからの記憶がないから
今、頭が混乱してる。
ユ｢あのね、私達リムジンでここに帰ってきたら、ソファーに具合が悪そうなAちゃんがいて...」
ユイちゃんは、オドオドしながらもここまでの経緯を事細かく教えてくれた。
どうやら、ソファーに横たわっていた私を部屋まで運んでままで様子を見てくれていたようだ。
その証拠にさっきまで着ていた制服は脱がされ、見たこともない服に着替えていた。
｢ごめんね。私、重かったでしょ?」
ユ｢あ、ううん。Aちゃんをここまで運んだのは私じゃなくてスバルくんだよ」
｢えっ?」
急に意外な人の名前が出てきたから、おもわず声が出てしまった。
でも、どうしてだろう？彼とは話したこともないし、接点もなにも無いはずだけど。
だけど、お礼くらい言わないと。...私、重くなかったかな?
考え込んでいるとユイちゃんが｢大丈夫?｣と声をかけてきた。
｢あ、っうん!ありがとう。後でお礼言いに行ってくる。ユイちゃんもありがとう」
ユイちゃんは、「ううん、私は大したことしてないよ!」と言って微笑んだ。
私が寝ていたベットの横にあるテーブルには1本のクランベリージュースが置いてあった。
それは、レイジさんが置いていったようだ。
ジュースのパックの下にある紙切れに「体調管理もしかっりするように」と綺麗な字で書かれてある。これはこれで、レイジさんなりの優しさなのかなとも思う。
―「回復したら、レイジさんにもお礼言いに行かなくちゃ」
私は、ユイちゃんがいなくなった静寂した部屋でポツリと呟いた。
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作者名：心芦心芦 | 作成日時：2017年6月3日 20時
