Taeil-夫婦編 ページ10
TL「A気を付けて」
「大丈夫」
TL「あ、A危ない」
「平気だよ」
TL「ねぇ、手繋いで」
「もう…」
小さな段差、ちょっとした階段、坂
足元のどんな障害物でも事細かく気にして私のお腹に手を添えるテイルは、最終的に私の手を握って引き寄せた。
妊娠していると分かってから二度目の定期検診に、初めてテイルを連れてきた。
私のお腹に触れる機械を心配そうに見詰めて、でもモニターに小さな影が映ると「わぁ」って感動の声を漏らした彼を見て
この人との赤ちゃんを授かれて良かった
そう心から思った。
TL「男の子かな、女の子かな」
「もう少ししなきゃ分かんないよ」
TL「俺絶対甘やかしちゃうよ、」
待合室の椅子に座って母子手帳を眺めながら少し先の未来の話をするテイルの頬は緩み切っていて、私よりも子供の事を喜んでくれているんだなって
TL「…俺、保育士になろうかなって考えるくらい子供好きでさ…Aとの子供なんて、もう尚更、」
「わっ、」
私達の目の前で走ってきた小さな男の子が転んで、ぺちんという音が響く。暫くそのままでいると急に起き上がった
かと思えば
『ままぁ〜』
顔をくしゃくしゃしながら泣き始める男の子。どうしよう と思いながら腰を浮かすと、それより早く男の子の前にしゃがみ込んだのはテイルだった。
TL「大丈夫？」
半ズボンから出る小さな膝を撫でながら優しく微笑むと、「すいません！」とお母さんが慌てて駆け寄って来て…
わぁ、おっきいお腹…半年くらいかな
なんて、人様のお腹をじっと見詰めていると
TL「…僕、お兄ちゃんになるんだ？」
柔らかい声に振り返る。
ゆっくり頷いた男の子に「そっかぁ」って微笑んで、座り込んだままの男の子の手を取って立ち上がらせるとその頭をくしゃっと撫でた。
TL「お兄ちゃんになるなら、泣かないの」
そんなテイルの目を真っ直ぐに見詰めると、ごしごしと涙を拭って『泣かない！』笑顔を見せてお母さんの元へ駆け寄った。
「ありがとうございました」
TL「いえいえ」
手を繋いで歩いていく親子の背中が見えなくなるまで手を振り続けた後、私の隣に腰を下ろして
TL「早く俺らの子に会いたいな」
まだまだ小さい私のお腹を愛おしそうに撫でた。
この人と創る家庭は温かくて優しくて、きっと毎日笑顔で溢れてる
ねぇ赤ちゃん、貴方を絶対幸せにするから早く出ておいでね
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作者名：よよよ | 作成日時：2023年12月14日 11時
