Yuta-兄妹編 ページ12
「ただいま〜」
YT「……遅い」
「…お兄ちゃん、何してるの？」
YT「お前を待っとったの」
「何で」
YT「遅いからや」
「バイトだったんだもんしょうがないじゃん」
バイトから帰って家のドアを開ければ、腕を組んでむすっとした顔で立ち塞がるお兄ちゃん。
確かに今日はいつもより遅くなっちゃったけど、私ももう子供じゃないんだから放って置いてほしい。
「…どいて」
YT「やだ」
「…私ももう19だよ？お兄ちゃんにとやかく言われる歳じゃないの。お願いどいて」
『悠太〜いつまでそんな所突っ立ってるの。A、ご飯あるから食べちゃって』
いつまでも退かないお兄ちゃんに、リビングからお母さんのそんな声が届く。
ほらね って顔でお兄ちゃんを見詰めてみるけど…相変わらず不機嫌そうな顔をして腕組みも解かれなくて。
「お兄ちゃん…いい加減にし、」
YT「男でもできたんか？」
「ちょっと、」
無理矢理行こうとお兄ちゃんを退けた手が掴まれて、そのまま壁に押さえ付けられる。
じりじりと迫ってくる顔が真剣で、カッコよくて兄妹なのに少しだけドキドキした。
「ねぇほんとに離し」
YT「答えなきゃ離さない」
頑なに手を離そうとしないお兄ちゃんに呆れながら首を横に振ると、さっきまでとは打って変わって眩しいくらいの笑顔を浮かべた。
YT「ほんまに居ない？」
「何で嬉しそうなの…」
YT「え？全然！Aに彼氏が居ないからって喜ぶはずないやろ〜」
「はぁもう、いいよ。満足？退いて」
YT「待って」
頬が緩むのが収まらないお兄ちゃんを軽く睨みつけて、自由になった手で再び退けてリビングに行こうとすると、トンっと肩を押されて背中が壁につく
「お兄ちゃ…」
手を壁につかれれば、逃げ道なんてどこにもなくて
YT「彼氏なんて、作んなくてええからな」
「……困るよ」
YT「Aには俺がいるやろ？」
「何言ってっ、」
YT「彼氏なんて作ってみ。俺が許さへんから」
……なんでお兄ちゃんにそんなこと言われなきゃいけないの って、そう思うのに口が動かなくて
だって、上から私を見るお兄ちゃんの目が何だか甘くて、思わず頷きそうになっちゃうの
YT「…ほんまに、どこにも行かんで」
肩に顔を埋められれば、全身の力が抜けて手に持っていた鞄が床に落ちる。
YT「A……大好き」
兄妹、なのに
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作者名：よよよ | 作成日時：2023年12月14日 11時
