36 ページ37
『このこと、言わないでいるつもりでした。だけど、冨岡さんを見ていれば分かるんです。冨岡さんは、Aさんのことが大好きだって……想い合うお二人を引き離すことなんて、最初から出来やしなかったんだって……それを見ていたら、思わず…』
夏に近づく気候は、俺の心の闇を一瞬で吹き飛ばした。
女は俺を見上げ、太陽のように優しく、朗らかな笑顔で言った。
『行ってあげてください』
「……御免」
頬には、一筋の水の跡がついていた。
恋愛は難しい。自分が好きでも、相手が自分を好いてくれるとは限らない。
俺は走り出した。
本当は、自分の気持ちに最初から気付いていたはずなのだ。その証拠に、懐には小さな箱が入っていた。
Aだって、自分の秘密を打ち明けたとき、苦しかったに違いない。それなのに、俺ときたら。
あのとき、“それでもいい”と言って、抱きしめてあげられたら、どんなに良かっただろう。頭を優しく撫でてあげられたら、どんなに安心させてやれただろうか。
A。A。A。
これは、俺の落ち度だ。Aが好きだなどと言いながら、結局は目的を果たせるかどうかで判断していた部分もあったのだろう。
でも、今は。
98人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もものかんづめ(プロフ) - 楪日織さん» はじめまして!素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいです。読み辛い箇所もあったと思いますが、少しでも義勇さんの魅力を伝えられたら嬉しいです! (2021年3月9日 14時) (レス) id: 1fd1adbad9 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - はじめまして、です。作品を読ませていただきました。冨岡さんが変わっていくところとか、主人公の過去とか、とても心揺さぶられるものが多くて、「美しい作品ってこういうことを言うんだな」としみじみと感じました。素敵な作品を、ありがとうございます! (2021年3月8日 22時) (レス) id: 754ebe19e6 (このIDを非表示/違反報告)
もものかんづめ(プロフ) - 凪子さん» 凪子さん!いつもコメントありがとうございました!次回作も頑張ります笑笑 (2021年3月8日 14時) (レス) id: 1fd1adbad9 (このIDを非表示/違反報告)
もものかんづめ(プロフ) - 莉子さん» 莉子さんのコメントにいつも励まされてました…笑本当に拙すぎる文章だったので、読みにくい箇所が沢山あったと思います。それでも、義勇さんの魅力や作中での成長過程が1ミリでも伝われれば嬉しいです!最後まで応援本当にありがとうございました!! (2021年3月8日 14時) (レス) id: 1fd1adbad9 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - この作品、とても好きでした。義勇さんの温かさが、心にしみました!次回作も期待しています(^.^) (2021年3月8日 13時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もものかんづめ | 作成日時:2020年11月8日 12時