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自宅に付き、急いで着替え、Aの家に向かった。
何を着ていくか悩んだが、藍色の袴を選んだ。
以前、この時間は家に誰もいないと言っていた。するなら今しかない。
Aは、庭で洗濯をしていた。
「あ、義勇さん、今日は早いんですね。お仕事お疲れ様です」
俺に気付くなり、ふふっと笑いかける。同時に、俺の心臓も早鐘を打つ。洗濯物のシャボンの香りが鼻をかすめ、その心地よさに思わず身じろぎをしたくなる。
Aの前に行き、背中に隠していた花束を差し出す。
「…っえ、え?」
「A、急で悪い、伝えたいことがある」
思わずといった風に受け取ったA。次に、懐から箱を取り出し、それを開け、Aの前に差し出す。
「俺と、結婚してくれ」
Aの、息を呑む音が聞こえた。
Aの纏う雰囲気が、ふくらはぎの傷を見つけたときのものと似ていると思った。
長い、長い、沈黙。それは俺が緊張しているからではなさそうだった。
「義勇さん………」
喉の奥から絞り出すような声。何故か怖くて、Aの顔を見ることができない。口が乾いてきた。
「私…は……」
低く、それでいてハッキリとした口調で、Aは言った。
「……ごめんなさい。結婚はできません」
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もものかんづめ(プロフ) - 楪日織さん» はじめまして!素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいです。読み辛い箇所もあったと思いますが、少しでも義勇さんの魅力を伝えられたら嬉しいです! (2021年3月9日 14時) (レス) id: 1fd1adbad9 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - はじめまして、です。作品を読ませていただきました。冨岡さんが変わっていくところとか、主人公の過去とか、とても心揺さぶられるものが多くて、「美しい作品ってこういうことを言うんだな」としみじみと感じました。素敵な作品を、ありがとうございます! (2021年3月8日 22時) (レス) id: 754ebe19e6 (このIDを非表示/違反報告)
もものかんづめ(プロフ) - 凪子さん» 凪子さん!いつもコメントありがとうございました!次回作も頑張ります笑笑 (2021年3月8日 14時) (レス) id: 1fd1adbad9 (このIDを非表示/違反報告)
もものかんづめ(プロフ) - 莉子さん» 莉子さんのコメントにいつも励まされてました…笑本当に拙すぎる文章だったので、読みにくい箇所が沢山あったと思います。それでも、義勇さんの魅力や作中での成長過程が1ミリでも伝われれば嬉しいです!最後まで応援本当にありがとうございました!! (2021年3月8日 14時) (レス) id: 1fd1adbad9 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - この作品、とても好きでした。義勇さんの温かさが、心にしみました!次回作も期待しています(^.^) (2021年3月8日 13時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もものかんづめ | 作成日時:2020年11月8日 12時