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元来た道を、その男と二人で歩く。
どちらも、話さない。
俺が墓参りをしている間、その男は何も話さなかった。表情からも、何も読み取れなかった。
坂を下り、木陰に差し掛かると、おもむろに男が足を止めた。
「……僕のこと、恨んでますよね」
木陰は、ひんやりとしている。
「あの、俺は、「いいんです、許してもらおうなんて、考えておりません」
そこから、また沈黙が続く。
「…今更どうして、姉さんの墓参りに行こうと思ったんですか。」
自分でも驚くくらい、冷たく、低い声だった。
「やっと、気持ちの整理がついたんです」
男は言った。
「君のお姉さん……もとい、僕の婚約者を亡くしてから、僕は荒れてしまった。訪ねてきた君にも、ひどい態度をとってしまった。ずっと一人で考えていた。ほかの女性との結婚も考えた。でも、僕にはどうしても蔦子さんしか考えられなかった。僕は生涯蔦子さんしか愛さないし、ほかの人と結婚もしない。」
「姉さんとは、見合いだったんですよね」
「うん。最初は親の意向でお見合いしたんだけどね…でも、あまりにも蔦子さんが綺麗で、僕は見合いの日、一目ぼれをしたんだ」
「……」
どこか自分の状況と似ているなと思った。
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もものかんづめ(プロフ) - 楪日織さん» はじめまして!素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいです。読み辛い箇所もあったと思いますが、少しでも義勇さんの魅力を伝えられたら嬉しいです! (2021年3月9日 14時) (レス) id: 1fd1adbad9 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - はじめまして、です。作品を読ませていただきました。冨岡さんが変わっていくところとか、主人公の過去とか、とても心揺さぶられるものが多くて、「美しい作品ってこういうことを言うんだな」としみじみと感じました。素敵な作品を、ありがとうございます! (2021年3月8日 22時) (レス) id: 754ebe19e6 (このIDを非表示/違反報告)
もものかんづめ(プロフ) - 凪子さん» 凪子さん!いつもコメントありがとうございました!次回作も頑張ります笑笑 (2021年3月8日 14時) (レス) id: 1fd1adbad9 (このIDを非表示/違反報告)
もものかんづめ(プロフ) - 莉子さん» 莉子さんのコメントにいつも励まされてました…笑本当に拙すぎる文章だったので、読みにくい箇所が沢山あったと思います。それでも、義勇さんの魅力や作中での成長過程が1ミリでも伝われれば嬉しいです!最後まで応援本当にありがとうございました!! (2021年3月8日 14時) (レス) id: 1fd1adbad9 (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - この作品、とても好きでした。義勇さんの温かさが、心にしみました!次回作も期待しています(^.^) (2021年3月8日 13時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もものかんづめ | 作成日時:2020年11月8日 12時