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「……記憶喪失?」

「えぇ。自分の名前はおろか、有名な鈴木財閥も、毛利小五郎も、分からなかったのよ」

東都や米花町にも違和感を感じていた。基本的な日常生活用語は伝わるのだけれど、特定の単語の記憶はない。もちろん、人の名前も。

ベルモット曰く、バーボンとキールにAを引き会わせたのは、今後のためだという。何の繋がりでジンが彼女を囲っているのかは分からないが、ジンも任務があるため、常に彼女といるわけではない。

そんな彼女の監視役、保護役、および話し相手として選ばれたのがバーボンとキールだ。

当初は自分以外の誰かに会わせることを拒否していたジンも、自分がいない間のことを考えたのだろう。渋々(本っ当に渋々)ベルモットの提案を受け入れたはいいものの、その相手に相応しい者が居ない。

そんな中、ベルモットは、Aの相手をするには黒に染まりきっている自分、イカれているキャンティやコルン以外に、比較的まともな感性を持っている2人を選んだ。もちろん、ジンには黙って。

当初からNOCではないかと疑われていた2人、しかも片方は胡散臭く気に食わない。そんなわけで、気分急降下のジンには退席してもらったのだ。

「キールは感性がまともだし、女性だからセレネの相手になれるわよね。バーボンはどうやら知り合いのようだし?」

「…えぇ、まあ、以前安室として会ったことがありまして」

「…あらそう」

やや不満げに返されたベルモットの視線に笑顔で応える。間違ってはいない。

「そういうベルモットこそ、彼女とはどういう関係で?」

「ジンとの関係も気になるけれど……、何かの任務で会ったの?」

突然現れた、ジンが庇護する女性。記憶が無く、儚げで無防備で、無警戒。ジンに運悪く気に入られ、何か巻き込まれた一般人かもしれない(正解)。

キールの質問に、ベルモットは自分の彩られた爪を見つめ、ふと口を開いた。

「………ひとつ言っておくわ。

彼女はただの一般人。真っ白で、無垢な、哀れにも下界に降りてきてしまったかぐや姫。

あまり詮索はよろしくないわよ」







それと、彼女には黒い服は着せないでちょうだい。








そう言ったベルモットの、眩しいものを見るような、それでいて寂しそうで、どこか嬉しそうな顔を、2人はきっと忘れないだろう。







2人を選んだベルモットは、あの無垢な女神を外に連れ出してあげて欲しいと、密かに思っている。

綺麗な人達→←・



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にゃーちゃん - 続編おめでとうございます!夢主ちゃんのこれからがめちゃくちゃ気になります…!!!更新楽しみにしてます! (1月25日 22時) (レス) @page2 id: 75afd42a71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒツギ | 作成日時:2024年1月24日 0時

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