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バーボンの声に不思議そうに振り向いたAと、数秒見つめ合う。こんな場所にAがいるという事実、その横にジンがいること。何が起こっているのか分からず、公安警察でありながら、足がすくんで動かない。
「バーボン、どうかした?」
「…ぁ、いえ…」
「ばーぼん…?」
聞き覚えのない言葉になんの事かと首を傾げたが、バーボンに声をかけたキールに気付いたAが、小さく会釈をする。キールも見覚えのない女性に困惑しつつ、会釈を返した。
「……ジン、その子は?ベルモットの変装じゃないのよね?」
「…あぁ」
Aから目を離さず呆然としているバーボンを一瞥したジンは、特に何かを教えるつもりは無いのだろう。バーボンと見つめ合うAの体を引き寄せた。
そのまま長い黒髪を弄ぶように撫で、ふと別の方向へ視線を向ける。
「…ベルモット、どうしてコイツらを呼んだ」
「ずっと鳥籠の中にいるなんて、空にいるはずのセレネがかわいそうじゃない?」
顔合わせだけでもさせた方がいいと思ったのよ。
いつの間に来たのか、暗闇からベルモットが現れる。慣れたように彼女に「ハァイ、レディ?」と挨拶をするベルモットと、「ベルさん」とにっこりと笑い返す彼女に、どうやら厄介な人物に気にいられているようだな、と眉を顰める。
「……説明してください。どうして僕達2人をここに呼んだのか」
「…えぇ。でもその前に、」
「……………ッチ」
「!?」
キールとバーボンがベルモットに早くしろよオーラ(圧)をかけると、彼女はジンと目を合わせた。それに対しジンが盛大な舌打ちをし、横にいたAをひょいっと軽く抱え上げ、奥の部屋に消えてゆく。
急に抱えられ声をあげた彼女と、肩越しに目が合う。綺麗な黒い瞳には、少しだけ光が宿っていた、そんな気がした。
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にゃーちゃん - 続編おめでとうございます!夢主ちゃんのこれからがめちゃくちゃ気になります…!!!更新楽しみにしてます! (1月25日 22時) (レス) @page2 id: 75afd42a71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒツギ | 作成日時:2024年1月24日 0時