【続々】どうか貴方達に、幸せの花束を。 (ページ2)

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美女から手渡されたミネラルウォーターを飲み、先程より声が出しやすくなった。さてと、と今の私の状況を知るだろう目の前に美女に、声をかけようとすると。

「……おい」

「！？」

「あら、もう来たのね。ジン」

また人が増えた。真っ直ぐな銀の髪に、鋭い目。私の警察官としての勘が言っている。この男は堅気ではない、と。

だけれど今私が置かれている状況から考えると、私の知り合いであろう美女が、堅気ではない男と話している。つまり、この男とも私は知り合いかもしれないということだ。

そこまで考えが浮かんだ瞬間、あれ、？と思考が止まった。

『知り合いだろう』『かもしれない』『知らない私』

私はさっきから、一体何を考えている？

まるで他人のような言い草。なんの自信もなく、確定したことが1つも言えていない。

「貴方とレディがどんな関係なのか、教えてくれない？」

「……テメェこそ、何故こいつを知っている？」

「すぐ構えないでちょうだい。全く気が短いわね…、レディもそう思うでしょう？」

親しげでありながらも殺伐とした雰囲気の中、拳銃を取りだした男を目の前に、美女がこちらを向く。それにつられて男もこちらに視線を寄越してきた。

それを好機とばかりに、私は口を開いた。

「＿＿＿あなたは、？＿＿＿わたしは、だれ、？」

教えてほしい。

私の今の状況を。

私の知り合いらしいあなた達のことも。

記憶とは明らかに違う私のことも。

何も知らない、分からないのだ。

ただ、変わってしまっている。

きっと記憶喪失なのだろう、と、また他人事のように思った。