【続々】どうか貴方達に、幸せの花束を。 (ページ1)

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知らないページ1

目を開けると、きらきらと輝くライトに、真っ白な天井。たった今目を開けたばかりの私には、ひどく眩しい。意思に反して重たい体に、そんなに長く寝ていたのだろうかと思いつつ、体を起こして周りを見渡す。

白いベッド、お洒落なドレッサー、白を基調とした広い部屋、窓から差し込む光。明らかに、私の部屋ではない。

動かしにくい手をグーパーと開き、それと同時に走った痛みに呻く。頭、肩、お腹。視線を下に向けると肩には真っ白な包帯が巻かれており、着ている高そうな生地のパジャマをペラリと捲るとこれまた包帯。

「…なに、これ」

いつ私はこんな大怪我をしたのだろうか。というか、ここはどこだろうか。一体どんな状況なんだ。

下を向いたからか、視界に黒い髪が映る。

長い、髪の毛。

それを見た瞬間、慌ててベッドから降りた。いや、上手く力が入らずに転げ落ちたため、そのまま何とかドレッサーに向かう。その、鏡には。

「……わたし、？」

映っていたのは明らかに私である。顔も、感覚も完全に私。

私の髪は短い。警察としての業務をするのに、長い髪は邪魔だからだ。

私の体は筋肉があって頑丈だ。犯人を捕まえるのに必要な護身術を嗜んでいるから。

私は顔に傷がある。警察官として動くと、よく怪我をするから。

だけど、目の前にいる女は、腰までの真っ直ぐな黒髪を持ち、華奢で頼りない印象で、まっさらで傷も皺もない顔で立っている。記憶にある私の姿とは、明らかに違う。

それに気付いた瞬間、真後ろからガチャ、と音がした。

振り向きざまにドレッサーに体をぶつけ、ガタ、と音が鳴る。

入ってきたのは一人の女性だった。長く美しい金髪を靡かせ、まるで海外のモデルのような抜群のスタイルを持った彼女は、起きている私に、そのエメラルドグリーンの瞳を大きく見開いた。

「…！やっと起きたのね眠り姫。ひとまずベッドに座って、安静にしててちょうだい。ずっと眠っていたんだから」

本当に労わるように私を見る彼女に、ゆっくりと黙ってベッドに戻る。ふかふかの明らかにお値段が高そうなベッドに逆戻り。

目の前の美女は、私のことを知っているようだった。生憎私は知らない(････)のだけれど。どこかで会ったことがあるのだろうか。