迷い狐とサンドイッチ ページ3
今日は散々だった。
朝はアラームが故障して鳴らず寝坊して大学の講義に遅れ、スマホはコードを挿しきれておらず充電がきれ、バイトは長引いていつもより遅い時間になり、お財布にはお金を入れ忘れて千円札しか入っておらずタクシーで帰れる金額ではなかった。
現在はとりあえず電車で最寄り駅の一個前で降り、そこから距離のある自宅までおとなしく歩いている真っ最中である。
「…暗ァ…」
明かりはあるものの暗い辺りになんか出そうだなぁとか思いつつ、遠慮なく歩を進めていく。
やがて一際暗く人通りの少ない道になった。街頭もつい最近に壊れていて、この時間帯は住宅からの明かりも少ないためあまり通らないようにしていたのだが、致し方ない。
するとふと何か音が聞こえた気がして、足を止めて耳を澄ます。誰かがすすり泣くような、か細い声。
「…いよいよそういうヤバイ系か？？？」
声の発信源は今しがた通り過ぎてきた脇道のようだ。
なるようになれ、とそっと覗き込むと、
「あ」
「…う"ぅぅ……っひっ、」
そこには一人の男性がうずくまり、泣いていた。具合でも悪いのか、はたまた何かトラブルでもあったのか。ちょっとやばめの人だったらどうしようか。今スマホ使えないし何も持ってないんだよな。
この距離で放っておくわけにもいかず、近づく。
「…あの、大丈夫ですか？」
「…！」
「具合が悪いんですか？それとも何かありましたか？」
私の言葉にビクッと反応し、ハッと此方を見上げるその人は、明らかに外国の方で。
「…っひぐ、………help…」
「おぅ…」
アッ、確定致しましたね。
一言ではあったが流暢であったそれに確信した私は、どうしようかなぁと思いつつ、不覚にも暗がりでもイケメンなお兄さんの涙にグッと来た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 896人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かな - コメント失礼します！更新ありがとうございます！！めっちゃワクワクしながら待ってました！！更新頻度がガクッと下がってもう更新されないんじゃないかなって思ってたところなので安心しました！！ゆっくりでいいので完結まで楽しみにしています！！ (5月5日 1時) (
レス) @page33 id: e27098baaa (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん（旧もこ）(プロフ) - コメント失礼します！私弐時参時様(EN様と卒業してしまった方も含めて)全員推しなので嬉しいです！出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。無理ならすみません。更新頑張ってください！楽しみにしてます！ストーリーめっちゃ好きです！これからも応援してます！ (3月26日 7時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
杏 - 日常系ってほのぼのしてめちゃくちゃ好きなのでこの作品に会えたことに感謝！応援してます！ (3月1日 8時) (レス) id: c72147683c (このIDを非表示/違反報告)
とな - コメント失礼します！個人的に足をグネッたって言う人が今まで近くにいなくていって足グネッたわって言ったら周りから何言ってんだコイツみたいに思われていたので、足をグネッったって言う表現を見つけてとても嬉しく思いました！ これからも頑張ってください！ (3月1日 0時) (レス) @page14 id: 2089fe153f (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ(プロフ) - とても好きです！！応援してます！！ (1月29日 14時) (レス) id: e1887f89f5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヒツギ | 作成日時：2023年8月13日 21時
