近 づ く 距 離 と 、 離 れ る 距 離 。 ページ7
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「と、としみつくん…?」
と「今日、見かけた時、めっちゃ切なそうな顔しとったげ…。」
「え?」
と「ごめん、ゆめまるから話聞いた…。」
俺には見えんAちゃんの顔、今どんな表情しとるん?
聞いてないふりして「どうしたの?」なんてスマートに聞くこと、俺にはできん。
それに、Aちゃんとは素直に向き合いたい。
「親がね、離婚するらしくて。」
彼女は俺に抱きしめられたまま、か細い声で話し始めた。
「せめて、せめて受験が終わるまで待ってくれたら、こんなに苦しくないのに…っ。」
と「え…?」
「離婚したら母親の実家に行くらしくて、三年生になる頃には、私はここにおらんかも…っ。笑」
泣きながら笑って、切なそうに微笑んで、彼女はそう言った。
そしてその言葉は現実となってしまった。
3月の終わり、特に仲の良かったてつや、しばゆー、りょう、ゆめまる、俺で見送りに行った。
て「ほんとに行くんかや…っ。」
「もー、てっちゃん泣かんときん?笑」
「男の子でしょ!」と喝を入れるようにてつやを泣き止ませるAちゃん。
流石、伊達に二年も『てつやのお世話係』と呼ばれていただけはあるくらい扱いが上手く、公共の場で泣くてつやを物の見事に泣き止ませた。
し「せっかく仲良くなれたのに…っ。」
「柴田みたいな友達がいて、すごく楽しかった!」
「ありがとね!」とAちゃんが言うと、我慢しとったかのように泣き出すしばゆー。
り「向こうに行っても連絡してね?変な男に捕まっちゃダメだよ?笑」
「りょうくんも、モテるからって女遊びすんなよ?笑」
り「うっざーい。笑」
寂しさを隠し合うかのように「元気でね!」と握手を交わすAちゃんとりょう。
ゆ「会いに行くよ。」
「だめ、お互い受験生なんだから。笑」
ゆ「大学、ほんとにこっちなん…?笑」
「うん、絶対一年で戻ってくる。」
しっかり目を見合って、互いを目に焼き付け合うように喋る二人。
傍から見てても潤みあってる目からはどれだけお互いを大事に思い合っていたのかが伝わってきた。
最後は俺の番。
てつや達に「ちゃんと挨拶しん!」とAちゃんの目の前に追いやられ、至近距離で見つめ合うど、まるで女神のように優しく微笑んでくれる彼女の姿。
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作者名:すーさん。 | 作成日時:2019年5月28日 0時