WASABI (ページ5)

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街のライトに照らされて、車を走らせる。
ふと、横に乗ってるAを見ると窓の外を覗いて何か考えているようだった。
その横顔がやっぱり可愛くて、綺麗で。好きだなと思った。

「あ、この曲好きかも」

次のライブでやる予定だった先輩の曲がかかる。

『俺もこれ好きやで。次のライブでやるから車で聞いてんねん』

「誠也くん、カッコイイから似合うだろうな〜。」

『せやろ、Aも見に来たらええやん。』

「うん。そのつもり、だって誠也くんの1番のファンだもん」

『それって俺の事好きってことやん』

丁度赤信号で車が止まる。顔をのぞき込むと、街の光に照らされて顔が赤いAが見える。

『照れてるん？笑』

「照れてないから！！誠也くんが変なこと言うから！笑」

パタパタと手で顔を仰ぎながら、もう〜なんて文句を言っている。そんな仕草ですら全部可愛いと思ってしまうんだから、どうしようも無い。
2人っきりの時間も、車を走らせれば終わってしまう。
Aの家の前に車を止めると

「送ってくれて、ありがとう。楽しかった！また行こうね」

そう言って車をおりる。車から降りる手を掴めたらどんなに楽だろうか、そんなことも出来ないので静かにそれを眺める。
パタンっとドアが閉まると外から手を振ってるAが見える。

車をドライブにいれ、走らせる。
彼女の家から俺の家はそう遠くは無い。10分ほど走らせると家に着く。

『また言えんかったわ。』

そう1人で呟いて、玄関に入る。スマホと鍵をテーブルの上に置いて風呂に入ろうかと、服を漁る。
ふと、Aの匂いがする気がしてまた寂しくなる。