WASABI (ページ4)

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「かんぱ〜い」

コツンとグラスを鳴らし、冷たい飲み物をゴクッと飲む。
お酒が飲めない俺たちはジュースで乾杯するのがいつものルーティン。ふと、顔を上げるとAと目が合う。

「いっつもありがとね笑」

『急にどうしたん？』

「誠也くんに迷惑しかかけてないなーて思って、」

『迷惑やと思ったことないで』

「ほんと？良かった〜笑誠也くんとはずっとこうしてたいからさ」

『なんや、それ笑』

「この間電話して思ったの、安心するな〜て。誠也くんいないと相談する相手も電話する相手もいなくて寂しいしさ、笑」

『まあ、なにかあったらいつでもかけてきーや』

「誠也くんって優しいよね。ずっと。」

Aにだけ。なんて言えるはずもないので、笑って誤魔化す。安心するのって受け取り方次第じゃ、貴方が好きみたいなもんやろ？期待もしてまうねん。
ただ、やっぱり思い出すのは彼氏の存在。
第三者からみたら、俺はきっと都合のいい男。
このまま、ずっと何もしないなんて結局想いは届かないし。
ずっと都合のいい男のまんまだし。

その後は、ズルズルと最近の仕事の話をして過ごす。

「あのさ、やっぱり少しだけ彼を信じてみようと思うの」

また聞きたくない言葉やって思った。
そんな言葉聞くためにここに来たわけじゃないのに。
何かしなきゃ、何も変わらない。でもなにかしてしまったら今までの関係が全て壊れるかもしれない。そんな考えが頭の中をグルグル回る。

「そろそろ行こっか？」

『せやな』

彼女がトイレに行ったタイミングで、お会計を済ませる。
いくら、奢りって言われたからって好きな女の子にお金出させるなんてことしたくないし。
Aが帰ってきたタイミングで、外に出よかと外に出る。

「結局、ご馳走になっちゃった。ありがとう」

『ええよ笑当たり前やん。ほら、送ってくで。車乗りや』

そう言い、2人で車に乗る。