WASABI (ページ3)

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次の日目が覚めて、昨日のことを思い出す。
ちょっとフライングだったかなんて重い足取りで仕事に向かう。仕事に行けば、少しは気が紛れるだろう。そう考えれば、仕事が少し楽しみになったかもしれない。
『おはよー』

「なんや、末澤元気ないん？」

『リチャ、、まあ昨日色々あってん』

そう言い、昨日の電話の内容を一通り説明する。全て聞き終えるとリチャは難しい顔をして

「まあでも、結婚してる訳ちゃうし？自由恋愛やん。
最悪、映画みたいに結婚式場で扉ガッチャ〜あけて連れ去ってもええやん？」

なんて、笑いながら冗談ぽく言う。ああ、確かに。なんて適当に返事をすれば、せっかくアドバイスしてやったんにと楽屋を出ていく。

「あれ、誠也くん元気ないっすね〜」

「え〜？ほんまや、なんや浮かない顔してますね」

小島と正門が入ってきて、俺の顔をのぞき込む。

『うっさいわ！人の顔じろじろ見んな！』

「なんだ元気じゃないですか〜」

わらわらと、各々の席へ散っていく。そんなこんなしてれば、
年下組がギャーギャー騒ぎ出すしそれを笑って見てれば1日が過ぎていく。

仕事が一段落し、携帯を覗いてみると
[明日、ご飯どう？電話のお礼も兼ねて！奢るよ]なんて、メッセージがAから入っている。

マネージャーに予定を確認してすぐ返信する。
どうせ彼氏との話を聞かされるだけだってわかっているのに、ご飯に行けるという事実だけで心が踊る。

「せーやくん、撮影始まりますよ」

『今行く』

「なーんか、機嫌良くないですか？」

『佐野、黙れ』

「おー、こわ」

撮影が終わって、スマホを覗くと明日のご飯の場所と予約しておいたよのメッセージ。

ありがとう、そう返すと
明日楽しみ！そう返ってくる。普通こんなこと返してくるなんて脈アリかもという思考が横切るが、彼女には付き合ってる相手がいるのでそんなことは毛頭ない。
そう考えると、鼻の奥がツンとする感じがした。
例えるならそうだな、山葵食べすぎたときのような目の奥から涙が出るような痛さ。

明日も朝早いので、マネージャーに送って貰ってさっさと帰宅して寝る準備をする。
疲れていたのか、目を閉じるとすぐ深い眠りに入った。