Phantom ページ5
.
『編み目は細くしてね』
「はいはい」
『左右どっちもお願いしますね』
「めんど、」
私は鏡の前に座って編み込みをしてもらっている、というのも
さっきの勇太の失礼な発言の償いとして。
小さい頃から
破れたスカートを縫ってくれたり
家庭科で終わらない宿題を代わりにやってくれたり
私なんかより全然手先が器用だった。
出来上がったのか黒いゴムで毛先を結ぶ
「まあこんなもんだろ」
『うわ、綺麗！』
たまにはやるじゃん、と肩を叩くと大袈裟に痛がる
「あら、勇太くん来てたの？」
いつの間にかお母さんが起きて扉から覗いていた
「はい、お邪魔してます」
せっかくだから、と朝ご飯を一緒に食べることに。
「うちの子勇太くんと違う高校で大丈夫かしら…」
サラダとトーストを運びながらそんな事を不安げに言うお母さん。
『大丈夫に決まってるでしょ』
「まあでもAのドジなところ心配になりますよね。」
「そうなのよ、本当にドジで困っちゃう」
２人してそんな事を話しているからその間にせっせと野菜ジュースを流し込む
陰口も良くないけど本人が居る前で堂々と言うのもどうかと思うね
『じゃあ行ってきまーす』
「あ、おい待てよ！」
まだ必死に食べている勇太に舌を出して
玄関に並べられた小さい方の革靴を履く
スニーカーとは違って何だか硬いな…
「ほらグズグズしてないで行くぞ」
気づけばもう隣で革靴を履いている
「ご馳走様でした、行ってきます！」
『行ってくるね〜』
「電車遅れないようにね」
珍しくもお母さんに見送られて家を出る
道端にはたくさんの桜の花びらが落ちていて、
まるでピンクの絨毯。
「可愛い子いるといいな〜」
『チャラ男。』
「俺ただのチャラ男じゃないんだ。モテるチャラ男なんだ。」
『分かったよもう』
今までの通学と何ら変わらないようだけど
改札を通って別々のホームに向かった時は
やっぱり、もう違う道に進んでいるんだって。
いつも隣にいた人が居ないだけでこんなに違和感があるんだ、と心にほんの小さな穴が空いたような気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 366人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ばーびーたそ(プロフ) - 抹茶オレさん» 抹茶オレさん(；▽；)新作読んで下さって嬉しいです〜！頑張って更新します(泣) (2017年1月15日 0時) (
レス) id: d4c74b46ce (このIDを非表示/違反報告)
抹茶オレ - 新作、嬉しいです！めっちゃおもろいし、平野も神宮寺もかわいいです！これからも応援してます、頑張ってください！！ (2017年1月14日 0時) (レス) id: 4f02bca497 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まゆさる | 作成日時：2017年1月13日 23時
