【獄都事変】元"ニンゲン"は鬼になる

【7話】 ご飯 ページ7

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「じゃ、とりあえず食おーぜ！！」


みんなで囲む、初めての食卓。
目の前にはたくさんの美味しそうなご飯たち。
誰も怒ってきたり、邪魔してくる人もいない平和な環境。

こんなの初めてで、なんだかむず痒いような感覚だ。


「A、早く食べないと平腹が全部食べちゃうよ？俺が取ってあげようか？」

「あ、いいよいいよ！ありがとう佐疫」


キリカさんの作った料理だと思うと、ただでさえ美味しそうなご飯が何倍にも美味しそうに見えてくるから不思議。
すごい勢いで食べる平腹にならい、自分の皿に唐揚げやおにぎりを大量に盛った。


「貴様、それだけ取っておいて残すとか言うんじゃないぞ…！」

「大丈夫、分かってるって」


谷裂の心配もよそに、自分の席につき直して一気に食べ始めた。
唐揚げは外はさくさく、中はジューシーで
おにぎりは塩加減が絶妙で、本当に美味しい！

こんな美味しいもの食べたの、生まれて初めて！
まぁ正確には今はもう生きてないんだけど…


「やるな、A…。
しかし負けないぞ。俺はおにぎりを６個食べた」

「オレはハンバーグ4個ー！」

「ふん、貴様らには負けられん！
俺はお前らの分、全てを1人で食ってやる！」

「あはは、何それ。
じゃあ私はパスタを1人で全部食べちゃおっかな」


みんなよく食べる。本当に。
私はお腹いっぱい食べるのなんて初めてのことだからよく分からないけど、この体は不思議だ。
いくら食べてもまだまだ、胃袋は寂しいまま。

みんな(主に斬島と平腹と谷裂)とご飯を奪い合いながら、不思議な胃袋を満たし続けた。



「ぐ…もう食えん…」

「オレもー。てかA食いすぎじゃね！？
オレ達と同じくらい食ってるじゃねえか！」

「前の体だったらこんなには食べられなかったよ。
不思議だよね、なんかいくら食べても苦しくならないんだよ」


ぺったんこのまんまのお腹を摩る。
さっきあれほど食べたというのに、ほとんど変わっていないのだ。
これも新しい体の能力？…いや、違うか。


「大食い勝負では俺の惨敗だな」

「ぐ…よしA、次は鍛錬だ。
手合わせをしろ。それで次の勝敗を決める！」


谷裂元気だなぁ…。
せめてもう少し落ち着いてからがいいけど…
でもこの体を自由に動かしてみたい！

そんな私の好奇心が、いらないことを言ってしまった。


「もちろん、構わないよ。
でも私が女だからって手を抜いてたら、簡単にねじ伏せちゃうんだからね」

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