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自分の手の形も分からない程暗い闇の中。
目をどれだけ凝らしても、何も見えない闇の中。
そこに何度も響く、空を切る音としゃがれた声。

父「何度言えば分かるんだ!!この低能がっ!!」
『.....すみません、父上』
父「チッ.......罰として、夜が明けるまで素振りだ」

扉が開かれ、目が潰れそうな程目映い光が闇に差し込む。
その光を掴もうと手を伸ばすも、父上によって閉ざされた扉に阻まれた。

闇。

何があるかすら見えないこの空間に独り。

泣く事はしなかった。出来なかった。
泣いてしまったら、強くなれないから。

『1120、1121、1122.........』

重い剣らしき物を振り続けた。
何分、何十分、何時間経ったのかすら分からぬまま。ただ、ひたすらに。

乾いた口から漏れ出る数字が、5桁に達した頃だったか。

ふと、何かを叩く音が暗闇に響いた。

慌てて音のした方......父上の出入り以外、決して開かれる事のない扉に駆け寄る。

グ「......A」

私よりも少し大人びた声に、口角が上がってしまう。

父上が熟睡する夜更け。彼等が来て、他愛もない話をする至福の時間。
触れただけで重厚な造りだというのが分かる扉に手を這わせ、彼等の声を聞き漏らさぬよう耳を澄ます。

『今日はどんな話をしてくれるんだ?』
グ「......そうだな。コネシマとシャオロンが城の花瓶を割って、ひとらんが激怒した話でもするか」
コ「な、何でその話やねん!ダサいって思われるやろ!」
オ「静かにするめう」
ト「バレたら親クビになって、もうここに来れんくなるで?」
シャ「うっ......分かった。その話な」
ひ「思い出したらまた腹立ってきたんだけど」
エ「お、落ち着いてくださいひとらんさん」
し「カリカリしてる男は好きじゃないな〜。
  ね、ロボロ」
ロ「あー、何か今すんごいイライラするわー」
鬱「ロボロ必死過ぎw」
ゾ「ちょ、大先生静かにw」
ショ「先輩方静かにしてくれません?この廊下結構響くんで」
兄「え?そうなん?」
チ「A様〜、僕の名前覚えてます?」
『ああ。全員ちゃんと覚えてるぞ』

1人一言ずつしか喋ってないのに、この騒がしさ。
父上が来ないかと、何度肝を冷やした事か。

こうしてこっそり会話する短い夜が、大好きで。

顔も知らぬ彼等が、大好きで。

彼等も、私を信用してくれてると思ってたのに。


「お前が、やったんか?」


私を見つめる、疑惑の目、目、目。

やめろ、やめてくれ。頼むから、そんな目で、私を見ないでくれ。

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とうみん(プロフ) - あなたの作品は情景描写がとても綺麗で、つい作品の世界観にのめり込んでしまいました。有名な小説家にも文才などありません。何度も何度も書き直してやっと傑作が生まれるのです。偉そうなことを言ってすみません。とてもおもしろかったです。ありがとうございました。 (9月3日 18時) (レス) @page36 id: a126db2d2e (このIDを非表示/違反報告)
るる - 読んでいてとても面白かったですよありがとうございます (2022年12月25日 16時) (レス) @page36 id: a2a90b5064 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - またいつか、続きを書く気持ちが湧いたならどれだけ時が経っていようとも、遠慮せず作品をまた更新してください。どうか、貴方様の作品を心の底から待っている人がいることを忘れないでください。本当にありがとうございました。コメント2つもしてすいません! (2022年8月17日 12時) (レス) id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - 打ち切りの言葉にはショックを受けましたが、読んでいるだけの私には分からない作者様だけの事情もあると理解しました。面白く、読みがいのある作品をどうもありがとうございました。 (2022年8月17日 12時) (レス) @page36 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
Ajisaaaai(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました (2020年12月3日 8時) (レス) id: 4585525dae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クレア | 作成日時:2019年10月26日 16時

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