第1話 縁 ページ3
水木side
ゲゲゲの森、という場所は妖怪の住処らしい。
自然豊かなここは暮らしやすい。
横丁っていう妖怪たちが住んでいる集落もあるが、ゲゲ郎はあえて、その外れにある家を選んだ。
「なんでここにしたんだ？」
「赤子の幽霊族は力の制御が難しいんじゃ。
じゃから慣れるまではここで住もうと思う。」
「そうなのか…？」
「あぁ…昔、まだ未熟な幽霊族の子が、一晩で村ひとつ消し去ったと、生きていた同胞に聞いたことがある。」
「え"……ｯ」
ま、まじかよ…幽霊族ってすげぇな…
「じゃから、そんなことがないように
今はここで静かに暮らすんじゃ……のぉ、おまえ。」
鬼太郎を静かに抱いた奥さんがゲゲ郎の隣でこくりと頷く。
……そっか、考えてんだな…
「俺は…早めにあっちに戻らなきゃな…」
「……幽霊族に目をつけられて抜け出せるとよいがの。」
「何怖いこと言ってんだよ。」
「お主はもう、人以外との縁を結んでおる。
簡単に切れるものでは無い。それに……今更逃げるのか？」
紅く、あいつの目が光る。
あの時、あの村で出会った時見せた、人間を脅す時の目。
「………別に、逃げねぇよ。
ただ、家族仲良く過ごす時間がいるんじゃねぇかなって思っただけだ。」
「………そうか、気遣い感謝する。だが、わしは水木。
お前も大事なんじゃ。」
んな事言われたってなぁ…
人間と幽霊族。長く一緒にいれるわけじゃない。
いつか、俺にだって寿命が来る。
でも今は、産まれたばかりの子を愛でて、
幸せに使ってもいいんじゃないか。と少しだけ思ってしまう。
だんだんと日が沈み夜が更ける…
「……んじゃ、先に寝るぞ。」
「あぁ…おやすみ水木」
妖怪の時間が来る。
続く (更新停止中)
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作者名：ぷよ松 | 作成日時：2024年2月18日 3時
