不思議な勉強会 ページ45
トイレから戻って来たところらしい彼が見ているのは、私の手元。
何も言わないので、『あの』と声をかけると、「あ、すみません。」と言って立ち去ろうとする。
『あの、良かったら教えてくれませんか?』
咄嗟に出た言葉だった。
何言ってんだ、と思い、すみません。と言おうとすると、「...じゃあ、こっち移動しますね。」と言われた。まじか、いや、まじか。
そう言った彼は、私が座って居たボックス席の正面に座ってきた。
「ここは...」
そう言って教え始めてくれた彼の説明は、学校の先生の数百倍分かりやすかった。
『本当にありがとうございました!』
その調子で残り少なかった問題集のテスト範囲の部分もやり終えた。
彼は、私が解いている間は本を読み、少し視線をやると「どこがわからん?」と聞いてきてくれた。
「いやいや、こっちこそまた思い出せたよ。それにしても、めちゃくちゃ難しい問題集使ってない?これ学校で使ってるの?」
『いえ、自分で買ったやつです。この制服見たら大体わかりますよね?』
そう笑い混じりにいうと、「ごめん実はわかってた。」と彼も笑って返した。
日も落ちてきたので、帰ろうということになった私達。今日のお礼にと彼の分のコーヒーもご馳走した。彼はめちゃくちゃ断ってたが、それも可笑しくてそのままお会計を済ませた。
「えぇ、ごめんね本当に。」
『いや、このくらい今日の時間に比べたらちっぽけなもんです!』
ありがとうございました、と言って私達は別れた。
それから先しばらく会うことはなかった。
また彼と再会したのは、「この人も東海オンエア入るから。」とてつやが連れてきた時だった。
りょう君のソファーにされて居た私は、背筋が悲鳴を上げているのを感じながらなんとか声の方をみた。
そこに居たのは、あの時と背も顔も変わってない相変わらず年齢不詳の彼だった。
驚いて、2人して目を丸くした。
そんな私達をみんなは不思議そうに見たけど、なんか面白いのでまだ内緒にしてある。いつかサブチャンのネタにでもしてやろう。
「あの時僕、Aちゃんちょっと怖かったから話しかけるの迷ったんだよね〜」
『あの時全盛期だったからなぁ...』
「あれ、城西ってこんなヤバかったっけ?って思っちゃったもん。」
『ひでぇなぁ〜』
2人で談笑してると、リビングからてつやの呼ぶ声がした。
この話は、もう少し秘密のままでいいだろう。
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sk - はじめてのおつかいのくだりめちゃくちゃ好きです!こういうのは見たことなかったですもん! (2019年12月16日 0時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
優 - めちゃくちゃ好みの作品です!更新頑張って下さい!応援してます! (2018年12月17日 1時) (レス) id: b364b26750 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - はじめまして!今読んでるところなんですが、、紅一点王で課金の答えが私の好きなの、、というか的を得ていて舞い上がっちゃいました!!すみません!!おもしろいです!!好きです!(語彙力無い上にうるさくてすみません) (2018年12月15日 22時) (レス) id: d9dda891e5 (このIDを非表示/違反報告)
yaoyoryzuchan(プロフ) - 更新待ってました〜!! (2018年12月4日 7時) (レス) id: 5858eadbec (このIDを非表示/違反報告)
いぬ - 、りょうやん。さん» 間違いないです笑 (2018年8月17日 23時) (レス) id: 44f31d8daf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:、りょうやん。 | 作成日時:2017年12月3日 0時