10. 俺から見た笑顔 ページ10
話は9話の冒頭に戻る。
彼女と一緒に歩く、飲み会の帰り道。
ガキくせぇことを言うが、女の子と肩を並べて歩くのはなんだか少し照れくさい。
俺があんまりズンズン先を行くので、彼女が少し小走りになって俺に着いてきていることに気がついた。いけね。
彼女の隣に戻り、ペースを合わせて歩き直す。
「Aさんは、さ。
なんか目指してることとかあんの？」
俺が急にそんなことを聞くと、彼女はキョトンとした顔をした。
「目指してること…ですか？」
「うん」
純粋に気になっていた。
彼女は未来のその先をどう見据えているのか。
どんな景色を夢見ているのか。
現状に満足してるんだそうだ。
「あとはマイペースにやっていくだけかなって。もちろんファンの人たちにはできる限り、私の音楽を届けていくつもりですけど！」
笑いながらそう言っていた。
なんか、意外だな。
それってちょっともったいなくないか。
全然君のことを知らなかった俺も、あんなに感動したというのに。
そう思って、ついついおせっかいなことを言ってしまった。
「もう少し高みを目指してもいいんじゃないの。あの世界は君にしか出せないし、少なくとも俺は、収録で聴いた時、本当に感心したから」
「もっと多くの人に、君の曲が届いて欲しい。
俺は勝手にそう思ってる」
途端に下を向いて押し黙る彼女。
あ、やべぇ。
何先輩ヅラしてんだ、他人に自分のやり方を指図されていい気持ちになるわけねぇだろ。
嫌な先輩って思われたかな。
「いや、別に怒ってねぇけど」
言い訳のようにモゴモゴ付け加えると、顔を上げた彼女は、思いのほか明るい表情をしていた。
「あの、常田さん。ひょっとして私って才能あるんでしょうか」
気づいてなかったんかい。
「私、調子乗っちゃってもいいんでしょうか…！」
真剣な表情でそんなことを聞いてくるので、思わず吹き出してしまった。
「いいんじゃないすか」
そう答えると、彼女はヒマワリみたいに笑って、夜空に小さな拳を掲げた。
「私、もっと頑張ってみます！
こうなったらKing Gnuを超えるくらい凄い歌手になっちゃいますからね！」
「おー、やれるもんなら」
カッコつけてそう答えたけど、嬉しかった。
背中を押せたことが。
彼女はまた嬉しそうに笑って、俺もつられて笑い返す。
君のその笑顔に比べたら、俺の笑い顔なんて大したことないんだろうけど。
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惑星ワタシ(プロフ) - こちらこそです！ずっと読んで下さっていたなんて嬉しいです、頑張って更新し続けて良かったです泣 ありがとうございました！ (2020年7月10日 21時) (
レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
あみ - はじめまして、ずっと読ませてもらってました。ホントに素敵なお話。ありがとうございました。 (2020年7月10日 19時) (レス) id: 7d59dcc18e (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます！楽しみにして頂けて嬉しいです！気合いが入ります(^^)もうしばしのお付き合いよろしくお願いいたします！ (2020年6月30日 9時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 毎回続きが気になる展開のお話です！これからも更新楽しみにしてます！ (2020年6月28日 13時) (レス) id: a040a3f75f (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - あすぴーさん» わー、ありがとうございます！とっても嬉しいです！King Gnu以外のアーティストはですね、敢えて名前は出さないようにして、読者さんに好きに当てはめてもらうみたいな感じでやっております。更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惑星ワタシ | 作成日時：2020年3月6日 17時
