5. ぽつり、ぽつりと ページ5
そう言えば、ここの居酒屋に来てから、常田さんとはほとんど会話をしていない。
「……」
「……」
気まずい沈黙が続く。
何か話題になるものはないかと頭をフル回転させて考えていると、
「枝豆、全部食べちゃいましょう、あいつらが来るまで」
「え？」
「いいから」
「あ…はい」
常田さんにそう言われたので、何だかよく分からないけど、おつまみに頼まれた枝豆に手を伸ばす。
そのまま黙々とさやを剥いて食べていると、
「曲、自分で書いてるんすか」
ぽつりと常田さんが聞いてきた。
「──はい、作詞作曲は自分でやってます」
「そっすか。……すごく良かった」
「へ、」
「『春の色』だっけ」
…え、褒められた？私の曲。
「あの、King Gnuの曲書いてる人って、常田さんですよね？」
「はぁ。まぁ大体は」
「わぁ…！すっごく光栄です！私もさっき、『Teenager Forever』の歌詞にすごく心打たれたんです…！そんな人に私の曲を褒めて頂けるなんて夢のようです！」
急に饒舌になった私に、常田さんは大きく目を見開いていた。
「そっか」
「はい！あと私、飛行艇の歌詞もすごく好きで！ラスサビの……」
「ただいまぁー！！」
熱弁しかけたところで、井口さんたちが帰ってきた。
「随分盛り上がってんじゃん！何話してたの！」
「あー、今俺の歌詞褒めてもらってたの。」
「何それ、俺もAちゃんに褒められたい！じゃあ次の曲は俺が書くわ！」
「いいけど、どういう曲にすんの」
「aikoへ捧げるラブソング！」
「馬鹿じゃねぇの」
相変わらずご機嫌な井口さんと、常田さんの掛け合いにまた笑みがこぼれる。
『すごく良かった』
さっきの常田さんの言葉がずっと胸に響いてる。
たった一言だけなのに、こんなに嬉しい気持ちになってしまうのはどうして？
「あれっ、枝豆、全部さやだけになってる！」
勢喜さんが上げた声にハッとした。
「ほんとだ、豆ないじゃん」
「え、俺らが行ってる間に2人とも全部食べちゃったの！？」
「それは常田さんが…！」
「………くくく」
いたずらの主犯格である常田さんが笑いだした。
あれ？
この人の笑顔、初めて見たかも。
「？ なに」
「あ…。ひ、ひどいですよ！いたずらに巻き込んで！」
「ははは。ごめん」
意外だった。
あまりにも屈託のない、優しい笑顔だったから。
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惑星ワタシ(プロフ) - こちらこそです！ずっと読んで下さっていたなんて嬉しいです、頑張って更新し続けて良かったです泣 ありがとうございました！ (2020年7月10日 21時) (
レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
あみ - はじめまして、ずっと読ませてもらってました。ホントに素敵なお話。ありがとうございました。 (2020年7月10日 19時) (レス) id: 7d59dcc18e (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます！楽しみにして頂けて嬉しいです！気合いが入ります(^^)もうしばしのお付き合いよろしくお願いいたします！ (2020年6月30日 9時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 毎回続きが気になる展開のお話です！これからも更新楽しみにしてます！ (2020年6月28日 13時) (レス) id: a040a3f75f (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - あすぴーさん» わー、ありがとうございます！とっても嬉しいです！King Gnu以外のアーティストはですね、敢えて名前は出さないようにして、読者さんに好きに当てはめてもらうみたいな感じでやっております。更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惑星ワタシ | 作成日時：2020年3月6日 17時
