29. 言わなきゃいけないこと ページ29
何やってんの私……
何やってんの、私！？
このタイミングを逃したら二度と言えないような気がして、勢い余ってしまった。
歩いていくうちに、徐々に頭はクールダウンしていく。
誰が見ているかも分からないのに、常田さんの腕を引っ張って街を駆け出すなんて！
相手の方からしたら迷惑極まりない！
常田さんは何も言わずに私に着いてきていて、それが不思議で、余計に怖い。
緊張と恥ずかしさと恐怖が綯い交ぜになって、これ以上ないくらい心臓が跳ねてる。
とりあえず、誰も居ない路地裏へ。
「……あ、の。ごめんなさい、急に。こんなとこに呼び出して…自分でもよく分からなくて…」
からからに乾いた喉で、必死で言い訳を絞り出す。
「急に誘拐されてびっくりしたわ」
冗談を言ってるのか、怒ってるのか分からない声音で常田さんは言う。
「す、すみません…！」と小さくなる私。
「で。なんで俺を呼び出したの？」
「…常田さんに、伝えたいことがあって」
こんな形で言うなんて、確実に成功率は下がる一方だ。でも、一度呼び出したからには、きちんと伝えなくっちゃ。
震える唇を開いたその瞬間、
「俺も、言わなきゃいけないことがあるんだ、君に」
という常田さんの言葉に遮られた。
「先に言ってもいいかな」
「…は、はい…」
常田さんが私に言わなきゃいけないこと？
なんだろう。心当たりが全くない。
気になったまま告白する訳にもいかないから頷くと、常田さんの口から出てきたのは意外な言葉だった。
「ごめん」
「…え？」
「ずっと前に、君を困らせて。今更謝っても遅いよな」
「な、なんの話ですか？」
「夏に一緒に飲みに行った時。君の肩に寄りかかったことあったろ。あの時から、君が素っ気なくなったから、嫌われたんじゃないかって…不安だったんだ、ずっと。かっこ悪ぃよな」
そう言ってほんの少し笑った常田さんの顔は、苦しそうだった。
胸が痛む。こんな表情させてるのは私だ。
思いが溢れて、止まらなくなって。
「全然…！そんなことないです！」
気がついたら、叫んでた。
「確かにびっくりはしたけど…！でも、嫌じゃなかったです！素っ気なくなったのは、どう接したらいいか分からなかっただけで…！
常田さんのこと嫌いだなんて思ったこと一度もないです！むしろ好きです！大好きなんです、今日はそれが伝えたかったから…」
………あ。
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惑星ワタシ(プロフ) - こちらこそです！ずっと読んで下さっていたなんて嬉しいです、頑張って更新し続けて良かったです泣 ありがとうございました！ (2020年7月10日 21時) (
レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
あみ - はじめまして、ずっと読ませてもらってました。ホントに素敵なお話。ありがとうございました。 (2020年7月10日 19時) (レス) id: 7d59dcc18e (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます！楽しみにして頂けて嬉しいです！気合いが入ります(^^)もうしばしのお付き合いよろしくお願いいたします！ (2020年6月30日 9時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 毎回続きが気になる展開のお話です！これからも更新楽しみにしてます！ (2020年6月28日 13時) (レス) id: a040a3f75f (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - あすぴーさん» わー、ありがとうございます！とっても嬉しいです！King Gnu以外のアーティストはですね、敢えて名前は出さないようにして、読者さんに好きに当てはめてもらうみたいな感じでやっております。更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惑星ワタシ | 作成日時：2020年3月6日 17時
