27. 会いたい ページ27
井口さんからきたメッセージに気を取られて、電車を乗り過ごしてしまった。
仕方なく、もう一本電車を待つことにした。
「はぁ…」
やっと座席に座れたので、思わずため息が漏れた。
さっきのメッセージの件もあるけど、それに加えてここ数日の疲れがドっと出たように感じた。
キュルルル、とお腹も鳴る。
家に帰ってから何か買い出しに行く予定だったけど、夜ご飯を作る気力も無くなってしまった。
適当に外食でもしよう。
どこで何を食べようか、
そんなことを考えていると、見たことのある風景が車窓の外に広がった。
ずっと前。
ヌーの皆さんと初めてお会いした時、打ち上げで誘ってもらった居酒屋さんがある街だ。
そうだ。
あのお店は確かご飯も美味しかったはず。
あの居酒屋さんで、夜ご飯食べるか！
そう思い立ち、慌てて電車を降りた。
「らっしゃっせ〜」
いざお店に入ると、懐かしい気持ちで胸がいっぱいになる。
あの時はお座敷でだったけど、今日は1人で来たので、カウンターに通された。
注文したお料理を待ってる間。
頭の中では、あの日の出来事が次々と蘇ってくる。
色んな話をしたな。
たくさん笑わせてもらったな。
そうだ、サプライズで有名なバンドマンさんと一緒に飲んだこともあったっけ。
考えれば、私はたくさんの思い出をKing Gnuに作ってもらった。
(あ、隣の人、枝豆食べてる…)
枝豆と言えば、常田さんのいたずらだ。
あの時、私は初めて常田さんの笑顔を見たんだ。
屈託のない、優しい笑顔を…。
「………」
そこまで考えて、胸がキュッと傷んだ。
やっぱり、無理だ。
このまま思いをひた隠しにするなんて。
苦しいままなんて、もう嫌だ。
会いたい。あの笑顔にもう一度。
常田さんに会いたい…。
「お待たせしました〜。熱いのでお気をつけください」
「あ、ありがとうございます」
潤んでくる目を袖でゴシゴシ拭いながら、夢中で食べた。
.
(…ちょっと泣いちゃったな)
さっきより少し落ち着いた気持ちで、店を出た。
苦しむのはもうやめた。
手の届かない人を好きになって何が悪いんだ。
きっと上手くはいかないけれど、
この気持ちを常田さんに伝えよう。
あなたという人が好きだって言おう。
それがいつになるか分からないけれど…。
いつか、きっと伝えなきゃ。
そう決心していたら。
「え」
目を疑った。
幻かと思った。
「──────A……？」
常田さんが、目の前にいたから。
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惑星ワタシ(プロフ) - こちらこそです！ずっと読んで下さっていたなんて嬉しいです、頑張って更新し続けて良かったです泣 ありがとうございました！ (2020年7月10日 21時) (
レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
あみ - はじめまして、ずっと読ませてもらってました。ホントに素敵なお話。ありがとうございました。 (2020年7月10日 19時) (レス) id: 7d59dcc18e (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます！楽しみにして頂けて嬉しいです！気合いが入ります(^^)もうしばしのお付き合いよろしくお願いいたします！ (2020年6月30日 9時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 毎回続きが気になる展開のお話です！これからも更新楽しみにしてます！ (2020年6月28日 13時) (レス) id: a040a3f75f (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - あすぴーさん» わー、ありがとうございます！とっても嬉しいです！King Gnu以外のアーティストはですね、敢えて名前は出さないようにして、読者さんに好きに当てはめてもらうみたいな感じでやっております。更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惑星ワタシ | 作成日時：2020年3月6日 17時
