17. 感じる体温 ページ17
「常田さん、大丈夫ですか…？」
「うぅん…」
あの後は、気兼ねのないことを本当にたくさんお喋りした。
普段、なかなか聞けないような常田さんの話が色々聞けて、楽しかった。
ただ、喋っているうちに、常田さんのお酒のペースも早まってしまったみたいで、居酒屋を出たあとの常田さんは、酔っ払ってへろへろだった。
歩く姿もまさに千鳥足、という感じ。
気を悪くさせるかもしれないと、お酒のことに口出しするのは遠慮していたけど、止めておいた方が良かったかもしれない。
これで常田さんが怒られたら、私の責任だ。
「え、駅まで歩けますか？」
「うーん…」
「…あ、井口さんたちに、お迎えに来てもらいますか？」
「ん…」
今の「ん」は、そうして欲しいの「ん」だろうか。
とりあえず、そういう意味と受け取っておこう。
井口さんに電話を掛ける。
《もしもしー？Aちゃん？》
「あっ、井口さん、こんばんは！」
《こんばんはー。急にどしたの？》
「あの、今居酒屋の前に居るんですけど、常田さんが…」
.
《…じゃあ、直ぐそっち行くから待っててね！》
「はい！よろしくお願いします！」
ハイハイと二つ返事で了承をもらったので、一安心。
「常田さん、井口さん来て下さるみたいなので、ここで待っておきましょう」
私の声に常田さんはとろんと頷いた。
白かった顔が、真っ赤になってる。
「あの、お水とか、買ってきましょうか？」
「……」
もう返事すらしなくなってる。
「買ってくるので、待っててください」
そう言って、自販機に向かって駆け出そうとした時。
「A」
自分の下の名前を呼ぶ低い声がした。
驚いて振り返ると、
ふわりと香るタバコとビールと汗の匂い、
感じる体温。
常田さんが、私の肩に頭を預けてきたのだ。
「！ つ、つつ、常田さ…！」
素っ頓狂な声が出てしまったが、常田さんは返事をしない。
すぐ近くに呼吸を感じる。
鼓動を感じる。
くせ毛の黒い頭が、私の顔のすぐ横にある。
「…A…」
また、下の名前だ。
どうする事も出来ず、暫くは魚みたいに口をパクパクさせてた。
全身が心臓になったみたいにドキドキした。
だけど、そのドキドキは違う意味のドキドキに変わった。
どうしよう…
近くにパパラッチが居たら！
この状態を撮られたら、週刊誌に載ったら、
井口さんたちに見られたら！？
「お、起きてください！常田さん！」
私は慌てて、常田さんの肩を揺らしていた。
.
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惑星ワタシ(プロフ) - こちらこそです！ずっと読んで下さっていたなんて嬉しいです、頑張って更新し続けて良かったです泣 ありがとうございました！ (2020年7月10日 21時) (
レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
あみ - はじめまして、ずっと読ませてもらってました。ホントに素敵なお話。ありがとうございました。 (2020年7月10日 19時) (レス) id: 7d59dcc18e (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます！楽しみにして頂けて嬉しいです！気合いが入ります(^^)もうしばしのお付き合いよろしくお願いいたします！ (2020年6月30日 9時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 毎回続きが気になる展開のお話です！これからも更新楽しみにしてます！ (2020年6月28日 13時) (レス) id: a040a3f75f (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - あすぴーさん» わー、ありがとうございます！とっても嬉しいです！King Gnu以外のアーティストはですね、敢えて名前は出さないようにして、読者さんに好きに当てはめてもらうみたいな感じでやっております。更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惑星ワタシ | 作成日時：2020年3月6日 17時
