16. 私の使命 ページ16
こじんまりとしたお座敷に通された。
四角いテーブルに常田さんと向かいあって座る。
マスクとサングラスを外した常田さんの顔は白くて、前にお会いした時よりも随分痩せている様に見えた。
「常田さん」
「……」
「常田さん？」
メニュー表を見たまま、ボーッとしているものだから、思わず大きな声で名前を呼んだ。
「あ、悪ぃ。意識飛んでたわ」
「お疲れですか」
「ん…。まぁ、ここんところ忙しかったから」
そうして、またボーッとし始める常田さん。
なんだか危うげで、
「あのぅ、常田さんは…」
意識をこちらに向けてもらおうと、もう一度声をかける。
「ん？」
「常田さんは…。どうして、私だけ誘って下さったんですか？」
「なに、急に」
「ふ、不思議だからです。常田さんは今すごく人気だし、たくさんお友達もいらっしゃるのに、どうしてその中から新人の私なんかを誘って下さったのか…」
意識も飛んでしまうくらいのお疲れモードの時に、私なんかと一緒に居ることに時間を裂いて下さるのが、不思議でならなかった。
常田さんは首を傾げて、しばらく考え込むような素振りを見せたあと、私の目を真っ直ぐ見て言った。
「分かんねぇ」
「へ？…分からないんですか？」
「うん。自分でも分かんねぇ。でも、Aさんと一緒に飲みたいと思った。Aさんと一緒なら、元気が出るんじゃないかと思ったから。…そんな理由じゃだめかな」
「い、いえ！全然だめじゃないです！」
ていうかむしろ…嬉しい。
一緒に居ると元気が出るって思われたなんて、めちゃくちゃ嬉しいし、数あるお友達の中から私が選ばれたとは、責任重大じゃないか。
「それより、なに飲むよ」
「あ、えっと。グレープフルーツジュースで…」
「ジュースでいいの？分かった」
常田さんの手が、注文ボタンへと伸ばされたその時。
「あ、待ってください！飲み物もいいけど…
常田さん、何か食べたいものあります？」
「え？」
「せっかくだから、美味しいものも食べましょうよ！
…それに、今日はお仕事のことは忘れて、色んなこと語りましょう。常田さんを元気にすることが今の私の使命なので、元気になってもらわないと困ります」
励ますつもりで、ガッツポーズしながら言うと、常田さんは唇を少し噛んで、じぃっと私のことを見つめてきた。
「…あれ。わ、私、何か変なこと言いました？」
「ううん、全然。…頼もしいわ」
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惑星ワタシ(プロフ) - こちらこそです！ずっと読んで下さっていたなんて嬉しいです、頑張って更新し続けて良かったです泣 ありがとうございました！ (2020年7月10日 21時) (
レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
あみ - はじめまして、ずっと読ませてもらってました。ホントに素敵なお話。ありがとうございました。 (2020年7月10日 19時) (レス) id: 7d59dcc18e (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます！楽しみにして頂けて嬉しいです！気合いが入ります(^^)もうしばしのお付き合いよろしくお願いいたします！ (2020年6月30日 9時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 毎回続きが気になる展開のお話です！これからも更新楽しみにしてます！ (2020年6月28日 13時) (レス) id: a040a3f75f (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - あすぴーさん» わー、ありがとうございます！とっても嬉しいです！King Gnu以外のアーティストはですね、敢えて名前は出さないようにして、読者さんに好きに当てはめてもらうみたいな感じでやっております。更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2020年4月9日 21時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惑星ワタシ | 作成日時：2020年3月6日 17時
