鉄樹、花を開くⅢ【相澤消太】 (ページ10)

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黒鉄side

ロビーに着きあたりを見渡すと、先程の男はまだソファに座っていた。

「何か御用ですか」

スーツの男「…部屋にまでお訪ねしなければと思っていたのですが、杞憂だったようですね。どうぞお座りください」

私は胡散臭い笑顔を向ける男の正面のソファに座った。男は20代後半。黒髪に切れ長の黄色の目。いわゆる“二枚目”な奴だが、飄々としておりどこか余裕がある雰囲気を纏っている。

掴めない…

スーツの男「ここは人が不規則に出入りする、場所を変えたいのですが」

「お断りします。」

スーツの男「そうですか」

ホテルの係員は受付にすらいなかった。人払いは完璧。私が来ることも分かっていたのだろう

スーツの男「貴方の敵ではありませんよ、黒鉄Aさん？」

微笑みながら私の本名を呼んだ。大したことはないが…気が悪くなる言い方だ

「ご要件は。」

スーツの男「申し訳ありませんがここでは話せません。」

「本名ごときで優位に話を進められるとお思いで？」

スーツの男「いえ！滅相もない！私は貴方を呼んでこいと頼まれただけです」

「私を呼んでこい？」

スーツの男「はい。来ていただけませんかね？私が叱られます」

付き合ってられない。私はソファから立ち上がった。

「すみませんが明日も早いので失礼します」

スーツの男「お待ち下さ、、」

？「申し訳ありませんがアインに御用の方は事務所へお問い合わせください」

私とスーツの男の間に2人のヒーローが立ち塞がった。

スーツの男「サンイーターと烈怒頼雄斗ですか、、お二人も気づかれていたとは、」

切島「すんません、何か依頼があれば事務所にお願いしますね！」

やや強引に押し切ると、意外と有効な手だったのか男は少し考える素振りを見せた

スーツの男「…分かりました。今日はここで引きましょう。」

こうして男はソファから立ち上がった。そして立ち去り際にこう言った。

スーツの男「この新聞差し上げます。もうずいぶん前の記事ですし、貴方の気を引きたかっただけなので。」