鉄樹、花を開くⅢ【相澤消太】 (ページ9)

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黒鉄side

色々進展があった。やはり“信者”達はフードフェスで何かを起こすつもりである。

3日間に亘り開催されるこのイベントには、飲食店が約50店舗集まり、昨年の動員数は 10万人超を記録。

そんなフードフェスの初日も明日。私達はすべての準備が終わってから不審物がないか見回りをした。

「問題ないね」

切島「あんな大っぴらに予告してんのに中止にはならねーんだな」

「大人の事情はめんどくさいんだよ。ほら初日の開会挨拶にどこぞの政治家が来るみたいだから」

その政治家は最近特に影響力を持つと注目されている人物。このフェスの主催者は後援会かなにかなのだろう。挨拶はテレビでも中継されるそうだから必ず“信者”はそこを突いてくる。

多くの人の注目を集めるにはこの上ない場だから…

「守る側としては中止してもらいたいけど、いい餌にはなるんじゃない？」

切島「…姉貴、絶対に外で言うなよ。あとその黒い笑顔辞めて？！」

「あははー笑」

自分の顔を売るためだがなんだか知らないが、周りの人巻き込むなっつーの

切島(怒ってる…)

その後明日の警備の最終確認が行われ、ホテルに帰ってこれたのは19時。いつもよりは少し早めに帰してもらえた。

「明日は私と別行動になる。神経尖らせていこう、引っ掛かることがあれば即報告。いいね？」

切島「おう！」

天喰「わかりました。」

「よし！じゃあ今日は早く寝て明日に備えよう！」

そう言って私はえーちゃんと天喰くんの背中を押し、二人が部屋に入るのを見送った。

「…」

だが私は部屋には入らず、踵を返しロビーに戻る。

さっきホテルに帰ってきた時、ロビーの端で優雅に新聞を読むふりをするスーツの男がいた。

本当に読んでいたのなら朝食のタイミングに読み逃したのだろうと、何も気にならなかったのだが、、

間違いなく視線は私達に向けられていた。それもその新聞の記事は八年ほど前のもの。…でかでかと書いてあった

【No.5ヒーローアイン,意識不明】

喧嘩を売ってきているのか？？

　
私はエレベーターに乗り込み、一通のメールを送った。