鉄樹、花を開くⅢ【相澤消太】 (ページ7)

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相澤side

あの夜からまたしばらく時間がたった。

例の犯行予告のことはニュースにも取り上げられるようになり、よく話のネタにされている。

テレビ《ついに明日に迫った大阪で開催されるフードフェスティバル！着々と準備進んでおります！》

Aはあれから忙しいらしくなかなか連絡がとれない。メールの返事が来るのは夜中の1時以降だ。

ろくに休んでいないのだろう

「全く…」

人を心配させるのが得意な奴だ。

天井を仰ぎぐっと背を伸ばすとあくびが出てきた。視界に入った時計は23時を示している

「今日はもう寝るか」

そう思い、パソコンや資料を片付け布団に入ろうとした。

ブーッブーッ

一通のメールの通知が入る。この時間帯には珍しい、Aからだった。トーク画面を開いてみると…

黒鉄「明日で片付く。」

なんと端的でわかりやすい文章。だがそれ以外にもっと何かあるだろう…

俺はすぐに返事をした

「速く帰ってこい」

するとすぐに既読がついて

黒鉄「既読はやっ」

そのまま返してやりたいよ。

「一段落ついて寝るところだったんだ」

黒鉄「ちょっとだけ話したい」

話を聞いてたのか、と突っ込みたくなるところだが俺の指は勝手に動き

「ちょっとだけだぞ」

と、返していた。するとすぐに向こうから電話がかかってくる。

「もしもし」

黒鉄「寝る前にごめんね」

「いいよ。」

黒鉄「明日帰るよーって連絡したかっただけなんだけど欲でた」

「…何時頃帰ってくるんだ？」

黒鉄「ん〜、多分夜中。長引いたら明日の朝かも」

「そうか」

迎えには行けなさそうだ

黒鉄「ねぇいつものあれやってよ。怪我するなーとか速く寝ろーとか。」

「人の好意をネタにするつもりか」

黒鉄「違う違う！消太が心配して言ってくれてることは分かってる。でもそれが私の頑張る理由になるの。怪我しないようにしなきゃとか、速く帰らなきゃって。だからお願い」

「！！」

ただ、俺が無事で帰ってきて欲しくて言っていた小言がAにそんな影響を与えているとは思わなかった