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黒鉄side
「グレースは私が生まれたときに個性を使って私の未来を見たらしい。…どんな未来だと思う？」
相澤「…以前に聞いた分から推察するに個性の暴走か、」
「うん。それでグレースは私が死ぬ未来を見た。」
相澤「っ、」
背を向いていても伝わってくる消太の大きな驚きと悲しみ。
「ごめん、こんなこと言って」
相澤「いや、、続けてくれ」
「…それでグレースは私を施設に預ける段取りを取り、すべての力を使って私の個性を私の中で制御する道を選んだ。光さんとの約束を守った。それが以前の第三人格。」
明さんは、光さんの写真を見せてくれた。グレースとの写真は見つからなかったそうだ。
「色々明さんから話を聞いてて帰って来るの遅くなった。ごめんね。」
消太は何も言わず突然ガサゴソと動き出し、私の背中を包み込むように姿勢を変えた。
相澤「…寒い」
ううんそれは嘘、消太はポカポカだ。背から伝わってくる消太の体温がじんわり伝わってくる。
優しい嘘…
「…“父さん”とか“母さん”とかは分からない。でも、私二人にすごく愛されていたことは分かったよ、、」
私はクルッと体を回転させ消太の腕の中に入る。消太も少し驚いたようだが、受け入れてくれた。
…グレースも光さんも、私を守るために死んだ。
娘を守るために命を落とした。
私はそんな二人のことを何も知らなかった、知ろうともしなかった。私を大事にしてくれていた2人に申し訳なくなる。
「ねる…」
相澤「そうだな」
すると消太は私の頭にキスを落とし、トン、トンと緩やかなリズムで背中を叩き出した。その温かさに安心感を覚え、周りの雑音も遠くなり、どんどん瞼が重くなってくる。
最後まではっきりしていたのは背中を叩く衝戟。
覚えていないけれど、まるでお腹の中に戻ったような奇妙で、、優しい感覚だった。
相澤「おやすみ、A」
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作者名：やゆよ | 作成日時：2024年2月4日 22時
