鉄樹、花を開くⅢ【相澤消太】 (ページ18)

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相澤side

政治家,黒鉄明の開会の挨拶が始まって5分。

山田「長くねぇ〜？もう世間話はいいよっ！！」

飽きているやつがここに1人。だが、山田の言っていることは尤もだ。

観客は黒鉄明の容姿に最初こそ目を向けていたものの、今では欠伸をしている者も見受けられる。

最初はこのイベントの歴史や店舗の紹介をしていたのだが、今は最近の天気や社会問題、話術は巧みだが正直本題からは逸れている。

そんなに喋るのが好きなのか、それとも、、

“他の目的”があるのか？

「…」
　

俺はじっとテレビを見守り、スピーチ開始から10分が経とうとした、その時だった。

ドォォン

「？！」

山田「なんだ？！！」

カメラがその衝撃で揺れ映像も乱れる。俺と山田は大きく目を見開き、テレビに釘付けになった。だがステージには何も起こっていない

客《な、なに？？》

客《何が起きたの？？》

　
客《今の、入口ゲートの方だよな》
　

観客は動揺し、会場は一時騒然とした。だが、、

明《皆さん、落ち着いてください、大丈夫です》

優しい声と笑顔で恐怖に呑み込まれた会場の空気を温かく包みこんだ。

「A、？」

いや、Aじゃない。黒鉄明だ。

だがその男の笑顔が一瞬Aの笑顔と重なった。誰かを守るときの、皆を安心させるときの笑顔…

黒鉄明《そろそろ私の話も終わりましょう。このフードフェスティバルはこれから3日間に亘って開催されます。今回は53もの店舗が参加してくれました。きっと皆さんにもご満足いただけると思います。では、私はこれにて失礼。ここからは、、》

するとステージ袖から一人のヒーローが歩いてきた。

黒鉄明《このフェスを守ってくれたアインにバトンタッチします》

一体、何が起きたんだ？？