鉄の抹消Ⅲ【ヒロアカ】 (ページ15)

今日:2 hit、昨日:103 hit、合計:28,273 hit

14 ページ15

その後…

相澤side

山田「…泣いてたな」

「ああ」

山田「俺達の前で泣くことなんて今までなかった。あの時でさえも…」

「…」

山田の言う通りだ。

Aは決して泣かなかった

“人前”では。

…高校2年の話だ

俺達の同級生、白雲朧はインターン先で子どもの救助を優先し、倒壊する瓦礫に潰され命を落とした

俺は目の前で白雲が瓦礫の中から救助されている間も動けなかった

放心状態だったのだと思う

そんなときだった

黒鉄「イレイザー！無事？！！」

額に汗を浮かばせた彼女が、瓦礫を飛び越え急いでこちらに駆けてきた

「A…」

黒鉄「っ、、！」

Aはヒュッと息を呑んだ

見てしまったのだ

遺体袋に入れられる友の姿を。

黒鉄「相澤、、」スッ

Aは俺を抱きしめた

「っ…」

でも、何も話さなかった

ただ俺の背に手を回して力強く抱きしめてくれた

暖かい

冷えきってしまった心に温かさが触れる

だがそれと同時に意識は現実に引き戻された

ラウドクラウドは、、白雲朧は、、死んでしまった

俺達4人の夢は叶うことはない

白雲［卒業したら一緒にヒーロー事務所作ろうぜ！ほら四人いればさ、誰か1人がミスってもさ他の3人がカバーしてくれるし！］

「っ、(泣)」

この時やっと涙を流せた

黒鉄「全部吐き出しちゃいな、私がそばにいるから、、大丈夫、大丈夫だよ」

Aは俺の背中を赤子をあやすかのように優しく叩く

黒鉄「大丈夫、大丈夫」

その後他のヒーローが来てからもずっと、Aは俺の隣に居てくれた

翌々日

俺たちのクラス2年Ａ組は白雲の葬式に参列していた

至るところから白雲を想い、鼻を啜る音や泣いている声が聞こえる

黒鉄「山田、大丈夫？」

山田「…大丈夫なんかじゃねぇよ」

黒鉄「ごめん、そうだね」

Aは決して涙を流さなかった

ただひたすらに棺を見つめる

そうして、クラスでこのようなあだ名が付いてしまった

感情がない、ただ鉄のように強くて、冷たい人間

【鉄の女】

と。