10 ページ10
*
私は大粒の涙を流しながらトボトボと家に帰った。もちろん母さんと父さんは私を見て驚愕する。
「「A！」」
母さんは父さんに店を預け、私の背をさすりながら話を聞いてくれた。私は嗚咽しながらも鼻水をすすり、ゆっくりと話した。
「習い事はお休みん連絡入れたばい。A、なにがあったと？」
『けいちゃんにっ、、けいちゃんに会うたっ、でもっ、もう会えんってっ、、』
「！啓悟君にっ、、」
母さんは小さく驚くと父さんを呼んだ。KARATACHIはいつもより早く店を閉め、家族会議が始まる。
「A、よう聞いて。啓悟君はな―――」
父さんの真剣な口調から語られた事実に、私の涙は引っ込んだ。
簡単に言えば、けいちゃんのお父さんが逮捕されたのは元ヒーローであるウチの父さんが現役のヒーローや警察にタレ込んだからだった。
私はこのとき、初めてけいちゃんが虐待されていた事を知った。愛情に囲まれて育ってきた私には無縁の事で、どれだけ過酷なことなのか想像もつかない。
私とけいちゃんが初めて会った日の夜、母さんは見たことを父さんに相談。二人とも気にかけていたものの、虐待の確証を持ったのはけいちゃんがウチに“もう会えない”と言いにきたあの夜だという。
けいちゃんが家を去ってから父さんはその後を追った。
父さんは知り合いのヒーローに声をかけ、けいちゃんの特徴や生活範囲を教えた。色々なことを調べあげたヒーローや警察は、けいちゃんの父親が外出したタイミングを狙い、近くに居たヒーロー、エンデヴァーが父親を逮捕。
父親の逮捕を知った母親が逃亡することを見越し、警察は人を派遣。父さんはけいちゃんが保護される瞬間を離れた場所から見ていたそうだ。
そして、その時間は、
いつも私が公園の砂場に手紙を書いている時間だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やゆよ(プロフ) - あわさん» あ、あわさん？！！大好きな作者様からコメント頂けてとても嬉しいです！“雄英のユーレイ”大好きです！！ありがとうございます！！ (3月29日 21時) (
レス) id: 1a6e7a7e08 (このIDを非表示/違反報告)
あわ(プロフ) - ああもうほんっとに！！高評価一回じゃ押し足りない！！ (3月29日 21時) (レス) @page47 id: 62a4013b15 (このIDを非表示/違反報告)
やゆよ(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます！全力で頑張ります💪 (3月24日 21時) (レス) id: 1a6e7a7e08 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - めっちゃ面白いです（ ; ; ）投稿頑張ってください (3月24日 20時) (レス) @page23 id: ce509c1850 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やゆよ | 作成日時：2024年3月17日 9時
