表の俺と裏の君。【ホークス】 (ページ27)

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風に乗った赤い羽根は不自然にピタッと空中で止まった。

『ポイ捨てはいかがなものかと思いますよ。』

「！！！」

どこからともなくあの子の声が聞こえてきた。空耳ではない。止まった赤い羽根の周辺に霞のような白い靄がかかり、次第に人型を形成していく。その正体が彼女の霧だと気づくのに時間はかからなかった。

『お久しぶりです、ホークス』

だが彼女が人の実態を持ったとき、俺は言葉を失った

「右腕と左足…どうしたの」

彼女の右腕は義手、左足は義足となっていた。

『右腕は轟燈矢に焼かれ再起不能、左足は彼から逃げる際に霧化したのですが蒸発させられました。』

俺のせいじゃないか…

『間違えても自分のせいだとか思わないでくださいね、ウザったい』

「え、？」

『あ、すみません、本音が。』

彼女は手を口に当てていたが、全く悪びれた様子はない。

「…Aちゃん？」

『失言です、忘れてください。本当はもう少し早くホークスの下へ戻ろうと思っていたのですがミスリーの記録を抹消するのに少し時間がかかってしまいまして、遅くなってすみません』

何も隠す必要がなくなった彼女は、相変わらず表情はあまり変わらないけど、とても饒舌で素直だった

「…俺はもうホークスじゃない、君に指示を出してた会長も死んだ。サポートする必要はない、任務は終わりだよ」

すると彼女は大きくため息を付き呆れた顔をした。

『もう一度いいますが私の任務はホークスと“鷹見啓悟”のサポートです。ホークスはいなくなっても鷹見啓悟は生きているでしょう。会長が死んだからなんです？会長が死んでも私の任務が終了したことになりません』

「…でも」

『いっつまで情けない顔してんねん』

「かっ、関西弁？」

『ん゙ん゙、、私、ツクヨミに抱かれて飛んでいく貴方を見て思いました。貴方は、自分の羽で飛ぶほうが良い。』

置いていくの？

『物理的に飛べと言っているわけではありません。ですが私も戻ってきた訳ですし、いつまでもグダグダするのは辞めましょう』

「…何この生意気小娘。」

『人の性格にケチ付ける暇があったらまず立ってください。今後のことを相談しましょう、見せてくれるんでしょ？“広くて狭い、この世界を”。』

Aちゃんはこのとき、小さく微笑んでいた。