こんな結末認めない。【第三夜】 (ページ5)

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past dream【猫井縁】ページ5

一夜限りの夢。

その一言でワタシの視界は一変した。

「＿＿！」

愛しいその声に振り向くと

ワタシが愛していた彼女がいた。

彼女は曇りのない輝くような笑顔。

ワタシがずっと求めていたもの。

大切だったものがそこにはあった。

…良かった。

ワタシは心のそこからそう思った。

彼女が出てきたということに安心した。

でも同時に悲しかった。

ワタシがまだ過去の遺物に

囚われ続けていることに。

そしてワタシは口にした。

「＿＿＿」

彼女の名を。

そしてワタシは微笑むと持っていたメスで

目の前を一閃する。

すると一瞬で視界がもとに戻る。

悠久古書店の方たちは驚いていた。

ワタシがこんな早く戻って来るとは

思っていなかったのだろう。

ロートはやっと？とでも言いたげな表情。

待たせてしまったんですね。

まぁ、ロートにあれは効きませんからね。

アリスの能力だったら

不思議の国の住人であるワタシは効かない

からそちらの方がよかったんですが。

さすがに気が付いたんでしょうね。

ワタシは不意に左側の頬から

何か冷たいものが伝っている事に気がついた。

ああ、ワタシは泣いているのか。

コレが悲しいということなんですね。

ロートに気付かれぬようそれを拭うと

右腕を押さえる。

その右腕からは血が流れていた。

戻って来る時にわざと切ったのですが、

結構痛いですね。

…彼女も、痛かったのでしょうか？